債権差押命令が届いたらどうなる?具体的影響と差し押さえまでの流れについて

債権差押命令が届いたらどうなる?具体的影響と差し押さえまでの流れについて

債権差押命令とは、あなたの財産や給料を差し押さえることが決定したことを伝える通知書です。近いうちに給料を差し押さえられたり預金口座を差し押さえられたりするため、自身の生活にも著しい影響をあたえることになるでしょう。

そこで今回は、債権差押命令とは何か?今後どのようなリスクが起こり得るのか?についてお伝えします。また、本記事後半では、差し押さえを回避したり債権差押命令を取り下げてもらえるための方法についても解説しています。

債権差押命令が届いた今、給料等の差し押さえまでのカウントダウンが開始されています。早めの検討や行動が今後の影響に関係してくることでしょう。差し押さえだけは避けたいという思いがある方は、これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。

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債権差押命令とは?届いたらどうなるの?今後起こり得る影響を解説

債権差押命令とは、あなたの財産を差し押さえることが決定した通知です。この書類が届いた時点で差し押さえは確定しており、今後は給料や預金口座等を差し押さえられてしまいます。

まずは、債権差押命令とはどのような書類なのか?今後どのような影響が起こり得るのか?についてお伝えします。

債権差押命令はあなたの財産を差し押さえることが決定した通知

債権差押命令とは、あなたが持っている債権を差し押さえることが決定した通知です。よって、今後は差し押さえの対象になっている財産や給料等をすべて差し押さえられるようになるでしょう。

また、債権差押通知書は第三債務者に対しても送付されています。第三債務者に送付する目的は「あなたが持っている債権を差し押さえました。よって、債務者本人には弁済をしないでください」ということを伝えるためです。

たとえば、給料を差し押さえられた場合は、あなたに対して給料支払い義務を負っている会社が第三債務者に該当します。よって、会社に対して「Aさん(あなた)に支払う給料の一部をこちらに弁済してください」ということを通知しているのです。

もう少し詳しく言うと、会社はあなたに給料を支払うという債務を負っており、あなたは会社から給料を受け取れる権利(債権)を持っています。この債権を差し押さえますと言うのが、債権差押通知書です。

つまり、あなたは何か特別なことをする必要はなく、あなたに債務を負っている側(会社等)があなたに変わって債権者に弁済を行うというものです。そうすることによって、債権者(あなたにお金を貸していた人)は確実に借金の回収をできるようになります。

第三債務者は債権差押命令を無視・放置できない

債権差押命令を受け、あなたに対して弁済することを禁止された者を第三債務者と言いますが、第三債務者は原則無視や放置をできません。たとえば、債権差押命令が届いている場合は、あなたに満額の給料を支払えないということです。

もしも、債権差押命令に反してあなたに弁済を行った場合、債権者(あなたにお金を貸している人)から請求があったときは会社等があなたに変わって弁済義務を負います。

たとえば、給料債権のうち5万円を債権者に返済しなさいという、債権差押命令が届いたとしましょう。会社側は、給料から5万円を引いて債権者へ返済しなければいけません。

しかし、債権差押命令に反してあなたに満額の給料を支払った場合は、会社側が5万円を債権者に支払わなければいけなくなります。

そのため、第三債務者は債権差押命令が届いた時点で、その通りに従う他ありません。もちろん、あなたに対して事実確認を行ったり、必要に応じて債権差押命令に対する異議申し立てを行ったりすることもできます。

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給与債権の差し押さえで手取り給与の1/4が差し押さえられる

債権差押命令が届き、同封されている差押債権目録を確認してください。その中に給与債権の記載があるときは、あなたが会社から受け取るはずの給料も差し押さえの対象になっています。

万が一、給料を差し押さえられてしまうと、手取り給料(会社から現金支給される金額)の1/4を完済できるまで差し押さえられ続けます。また、手取り給料が44万円を超える方は、33万円を超えた部分全額が差し押さえの対象になるため、生活にも多大な影響をあたえるでしょう。

手取り給料金額 差し押さえ金額 差し押さえ後の給料
20万円 5万円 15万円
30万円 7.5万円 22.5万円
50万円 17万円 33万円

参照:裁判所「民事執行手続 (3)債権執行手続 ウ.差押え」

差押範囲の変更手続きで減額も可能

給与債権の差し押え可能金額は、手取り金額の1/4までです。しかし、実際に1/4を差し押さえられてしまうことによって、自分の生活が著しく悪化してしまう方も少なくはありません。

そういった方々は、裁判所に対して差押範囲の変更手続きを行ってください。裁判所が各々の生活環境等を考慮し、実際に差し押さえをできる金額上限を設定しなおします。

差押範囲の変更手続きを行って、実際に給与債権の差し押さえ金額を下げられるかどうかは、下記の基準によって判断されます。

  • 一般的な水準の生活を送れるかどうか
  • 給与債権の1/4を差し押さえることによって生活が立ち行かなくなるか

たとえば、あなたがいわゆる低所得者世帯であり、手取りが減ってしまうことによって著しく生活に影響が出る場合は変更手続気が可能です。一方、趣味や娯楽等のために使うお金がなくなってしまう等の理由では認められません。

実際に差押範囲の変更を行うかどうかは、裁判所の判断に委ねられています。収入が減ってしまうことで生活が立ち行かなくなるならば、差押範囲の変更を裁判所に申し立ててください。

差押範囲の変更申し立ての流れは以下の通りです。

  1. 申し立てに必要な書類を準備(
    • 申立書(裁判所で入手)
    • 4,240円分の郵便切手
    • 家計収支表
    • 源泉徴収票(その他収入を証明する書類でも可)
    • 預貯金口座の写し
    • 資産および家計収支表を裏付ける証拠になり得るもの
  2. 債権差押命令を発令した裁判所に提出
  3. 裁判所で内容を確認し、差押範囲変更の可否を決定

なお、差押範囲変更手続き中も債権差押命令の効力が続いているため、給料等は差し押さえられ続けるので注意してください。

必要書類等はあなたの状況や各裁判所によって若干異なる恐れがあります。申し立てを行う際には、かならず債権差押命令を発令した裁判所に確認をしてください。

参考:大阪地方裁判所「差押禁止債権の範囲変更申立てQ&A」

銀行預金の差し押さえで残高のすべてを差し押さえられる

差押債権目録のなかに銀行口座が含まれていれば、あなたの銀行口座にあるお金はすべて差し押さえられてしまいます。

原則として差押債権目録に記載されている銀行、記載されている支店の口座しか差し押さえはされません。よって、同じ銀行内で複数の口座を保有されている方でも、実際に差し押さえられるのは差押債権目録に記載されている分のみです。

とはいえ、債権者は銀行等に口座や預貯金状況の情報提供を求めて差し押さえを行います。よって、同じ銀行で複数の口座を持っている場合は、すべてが差し押さえの対象になる可能性が高いでしょう。

給料支払い直後も全額差し押さえられるので要注意

給与債権は手取りの1/4までしか差し押さえできないのは、何度もお伝えしている通りです。しかし、給料があなたの口座に振り込まれたその瞬間に、給与債権ではなくあなたの財産に変わります。

そのため、タイミングよく給料日直後等に差し押さえをされてしまうと、1か月間無収入になってしまう恐れがあります。債権者もあなたの給料日等を把握しているため、タイミングを狙われてしまった場合は、全額を差し押さえらることになるでしょう。

なお、給料の全額を差し押さえられてしまえばその月の収入がまったくなくなるわけですから影響は甚大です。そのため、あらかじめ差押範囲の変更をしておいたほうが良いでしょう。

差押範囲の変更手続きは債権差押命令が届いた時点で申し立てができます。早めに対応をしておくことで、被害を抑えられるでしょう。

銀行預金への差し押さえは1口座1回のみ

基本的に預金口座の差し押さえは1口座1回のみです。差し押さえのタイミングも銀行の事務的な手続きが関係するため、あらかじめ決められているわけではありません。

とはいえ、債権者は何度でも預金口座の差し押さえを申し立てることができます。何度も給料日前後を狙って手続きを開始されてしまえば、生活が破綻してしまうでしょう。そうならないためにも、あらかじめ差押範囲の変更を行ったり、債権差押命令の取り下げを検討してもらうなどの対応が必要です。

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債権差押命令から実際に差し押さえられるまでの流れとは?

あなたの手元に債権差押命令が届いても、直ちに給料や預貯金を差し押さえられるわけではありません。いくつかの流れ、段取りを踏んで最終通告を行ったあとに差し押さえが開始されます。

よって、債権差押命令が届いた今、すぐに対応をすれば差し押さえを避けられる可能性もあるでしょう。次に、債権差押命令から実際に差し押さえが始まるまでの流れについてお伝えします。

1:債権者による債権差押命令の申し立て

まず、債権者は債権差押命令を発令するために、債権差押命令の申し立てを裁判所に行わなければいけません。また、あなたが借金を滞納したからといって直ちに債権差押命令の申し立てをできるわけでもありません。

債権差押命令の申し立てが可能になるまでの流れは以下の通りです。

  1. 債権者から債務者(あなた)に対して直接督促
  2. 債権者が裁判所に申し立てを行い、督促状を送付してもらう
  3. 一定期間経過後、裁判所は債務者に対して仮執行宣言付支払督促状を送付
  4. 一定期間経過後、債権者側の主張が認められて債務者に対して借金返済をさせる判決が下る

上記一連の流れを支払督促手続と言いますが、最後まであなたがアクションを起こさなければ、借金が確定します。そしてあなたが任意に借金の返済をしなければ、債権者は債権差押命令の申し立てができるようになります。

2:裁判官による債権差押命令の発令後、債務者・第三債務者への送付

ステップ1で債権者が裁判所に提出した書類に不備がなければ、債権差押命令を発令して債権差押命令正本を債務者・債権者・第三債務者それぞれに送付します。

債権差押命令が届いた時点で、差し押さえする財産は確定しています。もしも給与債権も対象になっていれば、会社にも債権差押命令が届いているため、あなたは事情を説明するなどの対応に追われることになるでしょう。

3:債権差押命令送付4週間経過後から第三債務者への取り立てが可能になる

債権差押命令を発令し、正本が債務者の手元に届いてから4週間経過した時点で債権者から取り立てが開始されます。

つまり、債権差押命令が届いてから4週間経過する前ならば、まだ債権者と交渉をできる余地が残されています。債権差押命令が本当の最終通告であり、このままだと本当に差し押さえられてしまうでしょう。

少しでも差し押さえを避けたいという気持ちがあるならば、債権差押命令が届いた時点で直ちに対応されることをおすすめします。迅速な対応こそが今後の生活にあたえる被害を最小に抑えてくれるでしょう。

債権差押命令を取り下げるための方法2つ

債権差押命令が届いてしまうと、ついに差し押さえまでのカウントダウンが始まります。もしも差し押さえは避けたいという思いがあるならば、債権差押命令を取り下げてもらうしかありません。

とはいえ、裁判所の判決にて借金が確定し、一定期間が経過すれば差し押さえをできる状態になっている今、交渉をしても取り下げてもらうことはほぼ不可能でしょう。では、どうすれば債権差押命令を取り下げてもらえるのでしょうか?その方法は下記の2つです。

  • 滞納している借金を全額一括で返済する
  • 弁護士に相談をして交渉もしくは債務整理を検討する

最後に債権差押命令が届いたあとでも取り下げてもらえる可能性のある2つの方法についてお伝えします。

①滞納している借金を全額一括返済

確実に債権差押命令を取り下げてもらうためには、債権者が請求している金額のすべてを一括で返済することです。借金をすべて返済してしまえば、相手は給料や財産をを差し押さえる必要がなくなります。そのため、債権差押命令は取り下げられるでしょう。

財産や給料の差し押さえまで時間がなくなっている現在、資力があるならばすぐにでも借金返済をしてください。

②弁護士に相談をすることで取り下げてもらえることがある

債権差押命令が発令されたあとでも、債権者によっては交渉の余地を残してくれている可能性があります。実際、債権差押命令を発令して債務者正本を送付してから4週間は差し押さえができません。

この期間に弁護士等へ相談し、交渉をすれば分割払い等に変更してもらえる可能性はわずかながらあるでしょう。とはいえ、状況はとても厳しいので、あくまでもダメもとで相談をしてみる程度に思ってください。

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自己破産・個人再生で債権差押の停止・取り消しが可能

債権差押命令発令後、あなたが弁護士を介して交渉しても取り下げてもらえる可能性はとても低いです。しかし、あなたが自己破産や個人再生の手続きを開始すれば、債権差押命令の停止・中止されます。

おそらく、現時点で債権差押命令が届いているということは、債務整理手続きを避けてきた結果でしょう。何らかの事情で債務整理だけは絶対にしない、したくないという思いがあったのかもしれません。

しかし、財産や給料の差し押さえが間近に迫っている現在、「債務整理だけは避けたい…」とは言っていられません。おそらくほとんどの方が、差し押さえと債務整理を天秤にかけた際、債務整理を選択されるでしょう。

実際に、財産や給料が差し押さえられ始めたあとでも、個人再生や自己破産といった法的手続きは可能です。ただ、いずれ債務整理をするならば、早めに手続きを開始して少しでも被害を抑える努力をされたほうが良いでしょう。

弁護士へ相談すれば、まずは分割支払等に変更できないか交渉を行ってくれます。もしもそれが難しいならば、次のステップとして債務整理を提案してくれます。

債務整理は決して後ろ向きな手続きではなく、借金を精算してリスタートしましょうという前向きな制度です。給料や財産を差し押さえられて生活が困窮することを考えれば、今は債務整理を検討されたほうが良いでしょう。

債権差押命令後の任意整理は難しい

債務整理の中には任意整理という手続きもあります。任意整理手続きは債権者と交渉をして利息をカットしたり返済計画の見直しを行ったりする手続きです。比較的簡単に安価で手続きを進められるのが特徴ですが、債権差押命令発令後は難しくなります。

というのも、任意整理は債務整理の中で唯一法的手続きではありません。あくまでも債務者と債権者の間に弁護士が介入して、借金返済に関する交渉を行う手続きです。

債権者からすれば、確実に借金を回収できる状態にあるのにわざわざ交渉に応じる必要がありません。そのため、債権差押命令発令後は任意整理にて和解を目指すのは非常に困難になるでしょう。

ただ、債権者によっては任意整理に応じてくれるかもしれません。ダメもとで相談をしてみれば、結果的に債権差押命令を取り下げてもらえる可能性はなきにしもあらずです。

何はともあれ、まずは弁護士へ相談をして、確実に債権差押命令を取り下げてもらうための方法を検討してください債権差押命令の正本が届いてから4週間がタイムリミットです。早めに検討・相談をされてみてはどうでしょうか。

まとめ

今回は、債権差押命令とは何か?届くとどうなるのか?についてお伝えしました。

債権差押命令とは、あなたの財産や給料を差し押さえることが決定したことを伝える通知書です。よって、通知書が届いてから一定期間が経過したタイミングで、実際に銀行預金や給料が差し押さえられてしまうでしょう。

万が一、差し押さえが行われてしまうと、あなたの生活にも著しい影響をあたえることになります。自分や家族、会社からの信頼を考慮すれば、差し押さえだけは絶対に避けたいと思うのが当然でしょう。

もしも債権差押命令が発令されたあとで、やはり差し押さえだけは絶対に避けたいと思うならば、すぐに弁護士へ相談されることをおすすめします。発令後は交渉が難しく、残された選択肢は債務整理のみというケースも非常に多いです。

しかし、差し押さえだけは避けられるので、債務整理をする意味は十分にあるでしょう。差し押さえさえ避けられれば、自分の生活を守ることができます。

今回お伝えしたことを参考にしていただきながら、債権差押命令に対する対応を早急に検討されてみてはどうでしょうか。

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よくある質問

Q. 債権差押命令って、なんですか?
A.

債権差押命令とは、裁判所が出す差し押さえ命令です。債務者(本人)・第三債務者(給与を支払っている会社など)に通知が届きます。会社員などの場合は、会社に連絡が行くので注意が必要です。

Q. 差し押さえにあうと、給与に影響しますか?
A.

差し押さえは、給与に影響します。給与の4分の1が差し押さえにあうので注意してください。また、銀行預金がある場合には、全てが差し押さえにあうので、ご注意ください。

Q. 債権差押命令が出たら必ず差し押さえにあいますか?
A.

債権差押命令が出てから4週間は差し押さえができません。この猶予期間に全額一括返済すれば差し押さえを回避できます。また、弁護士に依頼して自己破産等をすれば差し押さえを取り消すことができます。