総量規制に抜け道はあるのか?規制対象外になる借入について

【総量規制以上にお金を借りる抜け道】具体的方法とリスクについて

「借入総額が年収の1/3に追いつきそうだけれど、総量規制を回避してお金を借りる方法はない?
「総量規制の上限までお金を借りてしまったけれど、借金を完済することはできる?

貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンから借入総額が年収の1/3を超えてはいけないように定めた「総量規制」というルールが存在しますが「総量規制を回避して、それ以上にお金を借りることはできないか?」と考える人も多いのではないでしょうか。

貸金業法第13条の2貸金業法施行規則

例えば、年収300万円の場合、貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンからの借入総額は100万円までに制限されるため、これを超えると消費者金融カードローンなどの貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンはお金を貸してくれなくなります。

結論からいうと、総量規制の対象外となる借入方法は存在しており、銀行からの借り入れ・除外貸付け・例外貸付けなどであれば、総量規制の上限を超えて融資を受けられる可能性があります。

この記事では、総量規制の対象外となる借入方法や総量規制以上の借入をおこなうリスクについて解説します。

総量規制に達するほど借金をしてしまい困っている人に向けて、合法的に借金を減額できる対処法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  1. すべての借入先をまとめた借入総額が年収の1/3を超えると、消費者金融カードローンで融資が受けられなくなる
  2. 銀行からの借入・おまとめローン・住宅ローンなどは、総量規制の影響を受けずに借入できる
  3. 総量規制の制限以上に借金をしている場合、債務整理で借金を減額しよう

総量規制に抜け道はあるのか?

現在、なんらかの理由で総量規制を超える額の融資を希望していると思いますが、結論からいうと総量規制の対象外となる貸付があります。

また、年収を上げることで現在以上の融資を受けることも可能です。

総量規制の対象外となる借入3つ

総量規制は、「貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンからの借金総額」と「年収」という2つの視点から、「これ以上高利率条件での借り入れが原因で債務者を疲弊させてはいけない」という趣旨に基づいて、借入総額に上限値を設定するものです。

つまり、総量規制の趣旨が及ばないようなケースでは、例外的に総量規制の上限額以上のお金を借りられることになります。

参照:「貸金業法Q&A」(金融庁HP)
参照:「2 総量規制にかかわらず、お借入れできる貸付けの契約があります」(日本貸金業協会HP)

具体的には以下3つが総量規制の対象外の貸付となります。

  • ①銀行からの借り入れ
  • ②総量規制の除外貸付け
  • ③総量規制の例外貸付け

①銀行からの借り入れ

総量規制の対象になるのは「貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンからの借金」だけです。つまり、「貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンではない金融機関」からの借り入れは総量規制の対象外となります。

貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンとは、消費者金融カードローン・クレジットカード会社などのことです。銀行・信用組合・信用金庫・労働金庫などは貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンには含まれないため、これらからの借り入れは総量規制の対象外と扱われます。

たとえば、消費者金融カードローン系・信販系のカードローンは総量規制の対象ですが、銀行カードローン・銀行おまとめローンは総量規定の適用外です。

銀行カードローンを総量規制の抜け道に利用するのは不可能に近い

銀行カードローンが総量規制の対象外になるということは、債務者側は無制限に借金できるということにもなりそうです。しかし、実際問題として、銀行が総量規制の上限額を超えて融資をしてくれる可能性は極めて低いのが実情です。

なぜなら、銀行側は、「総量規制の上限額に抵触するような債務者に融資をしても返済の見込みがない」と判断するからです。各銀行が設定している社内審査基準は公表されてはいませんが、むしろ総量規制よりも厳しい審査基準が設定されています。

したがって、「消費者金融カードローンからの追加融資審査に落ちたから銀行カードローンを頼ろう」と考えるのは無理筋。実際は、銀行カードローンの方が借り入れ審査に通りにくいと考えましょう。

総量規制の抜け道として銀行おまとめローンを利用するのはハイリスク

おまとめローンとは、複数の借金を一本化できる商品のこと。多重債務状態に陥った債務者が自力で借金完済を目指す方法として効果があると言われるものです。

確かに、多重債務状態では、毎月複数の返済日が到来し、各社の返済額を合算すると毎月の返済額がかなり高額になるという危険性があります。やがて返済生活がパンクするのは目に見えているでしょう。

おまとめローン、特に、銀行のおまとめローンに借り換えをすれば、毎月1回の返済日に決められた金額の返済をつづければ良いだけになるので、返済生活を継続しやすくなるというメリットを得られます。しかし、その一方で、銀行のおまとめローンには次の落とし穴がある点に注意しなければいけません。

  • おまとめローンに借り換えても返済総額が減るわけではない
  • 借り換え前に比べて毎月の返済額が少額になるので返済生活が長期化する
  • 低金利条件での借り換えでも返済生活が長期化すると利息総額は高額になる
  • 完済日が遠くなるので、病気・怪我・収入減などのイレギュラーな出来事が発生しやすくなる

つまり、銀行のおまとめローンを利用したところで、借金総額自体は一切減額されておらず、返済先を変更して返済方法に余裕をもたせてもらっただけだということ。総量規制の抜け道になるからといって安易に手を出してしまうと、結果として、さらに長期間借金生活に苦しめられるリスクが高まるという点に十分注意してください。

クレジットカードのショッピング取引は総量規制の対象外

総量規制の対象になるのは「お金の貸し借り」だけです。つまり、クレジットカードのキャッシング取引で現金を借りることは総量規制の対象に含まれますが、ショッピング取引でモノ・サービスを購入した場合には総量規制の対象外になります。

なぜなら、ショッピング取引では、カード会社が利用額を「立て替えている」だけだからです。ショッピング取引には「お金の貸し借り」は存在しません。

したがって、クレジットカードでは、ショッピング枠とキャッシング枠それぞれに限度額が設定されているため、キャッシング枠の上限額を超えたとしても、ショッピング枠が残っていれば普段の買い物などのサービスを利用することは可能です(ただし、キャッシング枠はショッピング枠に含まれるものなので、キャッシング取引利用分だけショッピング枠の残り額が減る点にご注意ください)。

クレジットカード現金化は違法な取引なので手を出してはいけない

クレジットカード現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を利用して換金性の高い商品(商品券・人気ゲームソフト・高価ブランド品など)を購入し、中古品買取ショップ・金券ショップなどに転売をして現金を手にするという取引手法のこと。

「キャッシング枠が残っていないので追加融資を受けられない」という人でも、ショッピング枠さえ残っていれば現金を手に入れられるので総量規制の抜け道として提唱されることがありますが、次に挙げる理由から絶対に手を出してはいけません。

  • ショッピング枠の現金化は各カード会社の利用規約に違反する行為
  • カードの利用履歴はカード会社がチェックしているのでバレる可能性が高い
  • クレジットカードの利用停止・強制解約になるだけでなく、将来的に入会することも不可能になる
  • 信用情報に傷が付く
  • クレジットカードの現金化は自己破産の「免責不許可事由」に該当するので、生活再建の選択肢が大幅に狭められるおそれがある

クレジットカード現金化を利用しても、目先のお金が手に入るだけ。借金問題全体を解決するには不十分でしょうし、それ以上に被るデメリットが甚大ではありません。

「手軽な取引」として推奨されることもありますが、絶対に手を出さないようにしましょう。

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②総量規制の除外貸付け

貸金業者が提供しているカードローンが提供しているカードローンからの借り入れであったとしても、「総量規制の除外貸付け」に該当するものは対象外です。

つまり、以下の借り入れは総量規制の判断基礎となる借入総額には含まれないので、他の借金総額がいくらであったとしても融資を受けることができます。

  • ①不動産購入のための貸付け(住宅ローン)
  • ②自動車購入時の自動車担保貸付け(自動車ローン)
  • ③高額療養費の貸付け
  • ④有価証券を担保とする貸付け
  • ⑤不動産を担保とする貸付け(個人顧客・担保提供者の居宅などの自宅担保を除く)
  • ⑥売却予定不動産の売却代金によって返済予定の貸付け
  • ⑦不動産購入・リフォームなどのつなぎ資金の貸付け

参照:(個人過剰貸付契約から除かれる契約)貸金業法施行規則第10条の21

たとえば、年収600万円の債務者が消費者金融カードローンから総額150万円の借り入れをしている場合について考えてみましょう。総量規制によって年収の1/3までしか借り入れができないため、本来ならば当該債務者は残り50万円しか消費者金融カードローンから借金できません。

ただ、自動車ローン・住宅ローン・教育ローンなどのような目的別ローンは総量規制の対象外と扱われるので、50万円を超える目的別ローンを組むことができますし、目的別ローンを組んだ後に50万円まで借り入れることも可能です。

なお、目的別ローンを当該目的以外に利用した場合には、契約違反として残債の一括請求を求められるリスクが生じます。お金に色はついていませんが、借金返済のために目的別ローンを悪用したとなると金融機関側から目をつけられる可能性が高いので、別に借金を抱えている状況において目的別ローンの安易な利用は避けるべきでしょう。

③総量規制の例外貸付け

総量規制が定められているのは、「借り過ぎ」「貸し過ぎ」が原因で債務者が困窮するのを防ぐため。つまり、債務者にとって有利な取引・債務者にメリットがあると考えられる取引であれば、「総量規制の例外貸付け」として認めても良いと考えられるでしょう。

総量規制の例外貸付けに該当するのは以下の取引です。

  • ①顧客に一方的に有利な条件の借り換え(おまとめローンなど)
  • ②借金残高を段階的に減少させるために役立つ借り換え(金利条件が優遇されるなど)
  • ③顧客・親族などの緊急かつ必要な医療行為の費用としての融資
  • ④社会通念上、緊急かつ必要と認められる費用のための貸付け(10万円以下、返済期間3ヶ月などの条件あり)
  • ⑤配偶者の収入と合算した総額年収1/3の貸付け(配偶者の同意が必要)
  • ⑥個人事業主への事業上必要な貸付け(開業資金含む)
  • ⑦預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ融資」(貸付けの確度・1ヶ月以内の返済などの条件あり)

参照:(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等)貸金業法施行規則第10条の23

「総量規制の例外貸付け」では、「総量規制の除外貸付け」とは異なり、総量規制の判定時の計算基礎に含まれるという点に注意が必要です。

たとえば、年収300万円の債務者が消費者金融カードローンから80万円の借金をしている状況について考えてみましょう。

総量規制の上限額は年収の1/3なので、本来ならば債務者が消費者金融カードローンから追加融資を受けられるのは20万円まで。ただ、個人事業主としての開業資金は総量規制の例外貸付けに該当するため、50万円を借り入れることも可能です。

もっとも、総量規制の例外貸付けとしての借り入れは借金総額に含まれることになるので、50万円の追加融資によって借金総額が130万円になったと扱われます。つまり、当該債務者には総量規制範囲内の枠が残っていないため、除外貸付け・例外貸付け以外の借金をすることは不可能になるということです(銀行等からの借り入れは可能)。

消費者金融カードローン系のおまとめローンも総量規制の抜け道として利用するべきではない

銀行のおまとめローンに比べて、消費者金融カードローン系のおまとめローンは審査スピードが速く、審査基準も甘いために利用しやすいという特徴があります。

ただ、上述のようにそもそも銀行のおまとめローンを利用してはいけませんし、審査が甘く借り換えがしやすいからという理由で消費者金融カードローン系のおまとめローンに手を出してはいけません。

特に、消費者金融カードローン系のおまとめローンでは、銀行のおまとめローンよりも高い利率条件が設定されていることが多いです。返済期間が長期に及ぶと利息総額が膨れあがるスピードも速くなるため、せっかくおまとめローンに借り換えたにもかかわらず、元本総額以上の高負担を強いられるリスクが発生します。

したがって、消費者金融カードローン系・銀行にかかわらず、総量規制の抜け道としておまとめローンに手を出すのは厳禁。借金問題を本当に解決したいのなら、家計環境を安定させて借金返済に前向きに取り組むか、債務整理で返済状況を根本的に改善するのがおすすめです。

年収を増やすことで融資額を上げることは可能

総量規制は、年収額を基準に借り入れ上限額が設定されるものです。つまり、年収を増やすことに成功すればそれだけ借り入れ可能額の枠が増えるので、追加融資を期待できることになります。

ただし、年収アップを理由に増額申請をする際には、以下の「年収を証明する書類」の提出が求められるのが一般的です(1社から50万円以上、複数社から100万円以上の借り入れをするときには提出が義務付けられています)。

  • ①源泉徴収票(直近の期間に係るもの)
  • ②支払調書(直近の期間に係るもの)
  • ③給与の支払明細書(直近の2ヶ月分以上・地方税額の記載があれば1ヶ月分で可)
  • ④確定申告書(直近の期間に係るもの)
  • ⑤青色申告決算書(直近の期間に係るもの)
  • ⑥収支内訳書(直近の期間に係るもの)
  • ⑦納税通知書(直近の期間に係るもの)
  • ⑧納税証明書(直近の期間に係るもの)
  • ⑨所得証明書(直近の期間に係るもの)
  • ⑩年金証書
  • ⑪年金通知書(直近の期間に係るもの)

参照:(資力を明らかにする事項を記載した書面等)貸金業法施行規則第10条の17

たとえば、「今月は収入が増えたので追加融資をさせてください」と電話で伝えてすぐに借り入れ審査が実施されるというわけではありません。

かならず金融機関側から証明書などの提出を求められるので、指示に従うようにしてください。

年収アップで総量規制の抜け道を狙うなら「収入」要件を充たさなければいけない

年収が増えれば総量規制の上限額も引き上げられますが、どのような収入でも総量規制の算定基礎に含まれるというわけではありません。総量規制の抜け道に使える収入は、「年間の給与」「給与に類する定期的な収入」だけです(貸金業法第13条の2 第2項)。

そして、給与に類する定期的な収入として認められるのは、次の4つに限られます。

  • ①年間の年金の金額
  • ②年間の恩給の金額
  • ③定期的に受領する不動産の賃貸収入
  • ④年間の事業所等の金額(「安定性」の要件が課される)

参照:(年間の給与に類する定期的な収入の金額等)貸金業法施行規則第10条の22

たとえば、パート・アルバイトなどの副業で得た収入は給与に含まれます。また、個人事業主としてクラウドソーシング等で事業を展開している場合にも「定期的な収入」と認められるでしょう。

これに対して、開業届を提出せずに副業で収益を上げている場合には、税務上の「雑所得」に区分されるために「定期的な収入」には含まれません。また、株式投資・為替取引などで得た配当金やギャンブルの払戻金も対象外です。

そもそも、収入が増えた場合には、その分をそのまま家計の安定・借金の返済に充てるべき。総量規制の抜け道を利用して追加融資を得るために使うべきものではありません。

たとえば、所得が増えたタイミングで繰り上げ返済・一括返済などを実践すれば、それだけ完済日は近付くもの。「借金で生活を安定させること」ではなく、「収入の範囲で生活を成立させること」に意識を集中させましょう。

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総量規制以上の借入はリスクがあるので要注意!

総量規制の抜け道を利用したとしても、債務者側が刑事罰・行政罰を科されることはありません。また、総量規制の上限規制を超えた貸付けを受けたとしても、債務者側が負担するのは借金の返済義務だけ。別途、法的な制裁が加えられるわけではないのでご安心ください。

ただし、法的な制裁が加えられないからといって、総量規制の抜け道を利用することが推奨されるわけではありません。なぜなら、総量規制の抜け道を頼る債務者には、次の3つのリスクが降りかかるおそれがあるからです。

  • ①家計の収支バランスが崩れる
  • ②闇金などに騙される危険性が増す
  • ③返済不可能な借金を背負うことになりかねない

それでは、総量規制の抜け道のリスクについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。

①総量規制の抜け道を頼ると家計収支バランスが崩れる

総量規制の抜け道を頼ると、収入・支出のバランスが崩れて、結果として安定した家計から遠ざかるリスクが発生します。

そもそも、総量規制が設けられている趣旨は、借り過ぎ・貸し過ぎが原因で債務者が困窮状態におちいらないようにするためです。ここには、「年収の1/3を超える借金は生活の支障にしかならない」という考え方が存在します。

たとえば、年収300万円、借金総額100万円の債務者をモデルケースにして考えてみましょう。ボーナスを考慮しないとすると、毎月の収入は約25万円(手取り額20万円程度)。家賃や生活費などを考慮すると、毎月2~3万円程度の返済額を用意するのがギリギリでしょう。

この状況で、総量規制の除外貸付けである自動車ローン100万円を組んだとすると、実質的な借金総額は200万円に。5年~10年が一般的なカーローンの毎月の返済額は2万円程度になるため、収入額は一切増えていないのに、毎月の返済額が約2倍に膨れ上がることになります。

総量規制のおかげで年収300万円の人は100万円までしか借金できなかったはずが、総量規制の抜け道を利用したために、「年収300万円なのに200万円の借金を背負ってしまった」ということになりかねません。これでは、毎月の食費・生活費・光熱費などを支払う余裕もなくなるでしょう。

総量規制の抜け道を利用したとしても借金総額が優遇されることはありません。毎月の収入に限りがある以上、返済額が増えた分だけ生活費などにしわ寄せがくるため、心身健康な状態での生活が遠のくリスクがあると考えられます。

②「総量規制外の即日融資」などの宣伝文句は闇金のリスクがある

総量規制の抜け道を探している債務者が注意しなければいけないのが、”違法な抜け道”に騙されないことです。

たとえば、「総量規制で追加融資を受けられない債務者でも即日利用可」「ブラックリストでも安心・安全に」などの宣伝文句でユーザーを募る業者は違法な闇金・違法な取引である可能性が高いので、絶対に利用してはいけません。

闇金と関わり、違法な取引に手を出してしまうと、債務者には次のようなデメリットが生じることになります。

  • ①利息制限法を無視した違法利息を請求される(トイチ・トサン・トゴなど)
  • ②貸金業法違反の違法な取り立て行為で債務者本人・家族の生活の平穏が脅かされる
  • ③闇金にわたった個人情報が転売されて悪用される
  • ④口座買取・スマホ買取などの違法取引に手を出すと、債務者も刑事罰を受けるリスクが生まれる
  • ⑤給与ファクタリングなどの合法性に疑いのある取引では高い手数料が課されるので損

どこからも融資を受けられない差し迫った状況に追いこまれると、自分に手を差し伸べてくれる存在を頼りたくなるのは仕方のないことです。

しかし、一度でも闇金から融資を受けてしまうと、自力で完済するのはほぼ不可能。いつまでもお金を搾り取られつづけるでしょう。

そもそも、借金問題は「抜け道」で解決できるものではありません。すでに借金を抱えている状態で総量規制の抜け道を模索するのではなく、債務整理などの方法で真正面から借金問題解決に挑むのがもっとも近道です。

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③今後確実に返済できるのか見極めることが重要

総量規制の抜け道を利用して追加の貸付けを受けても良いのは、今後確実に返済できるという債務者だけです。

将来的な返済可能性を見極めることもせずに総量規制の抜け道を利用すると、借金地獄から抜け出せなくなるおそれさえ生じかねません。

原則として総量規制の抜け道は利用すべきではありませんが、以下を参考のうえ、自分が総量規制の対象外となる融資制度を利用しても良い債務者なのか否かをご判断ください。

総量規制意外の融資を受けても良い人 ・過去に滞納歴がない人
・毎月の返済額に余裕がある人
・単身世帯で年収が600万円以上ある人
・浪費癖、ギャンブルなどに手を出していない人
総量規制の抜け道を利用してはいけない人 ・現在の借金返済で既に家計が疲弊している人
・過去に借金を滞納したことがある人
・年収が600万円に満たない人
・既婚など、扶養している家族がいる人
・ギャンブルや浪費癖がある人

今お金に余裕がない人は、総量規制の抜け道を利用したところで家計状況が改善することはありません。一時的にお金を手にして楽に感じるかもしれませんが、数ヶ月経てば今よりも苦しくなるだけでしょう。

また、今お金に余裕がある人は、総量規制の抜け道を利用するのではなく、現在の借金を完済することを最優先に考えるのがおすすめです。

もちろん、事業用資金や自動車ローンなど、避けられない支出のために抜け道を利用せざるを得ないというケースもあるでしょうが、総量規制の抜け道を利用しても良いのは、このような限定的な場合だけだとご理解ください。

どうしてもお金が必要な場合に利用できる公的制度

確かに、総量規制には一定の合法的な抜け道が認められています。

しかし、これらの抜け道は、あくまでも「合法的に借金をすること」でしかなく、現在抱えている借金を減額したり、返済状況を改善したりすることには一切役立たないのが原則です。

また、総量規制の抜け道を利用するとしても、どの方法にも要件・ハードルが設定されています。つまり、「次の返済日まで生活できないから」という理由だけでは、総量規制の抜け道を利用できないということです。

そこで、「総量規制の抜け道を利用できないが、どうしてもお金が必要だ」という債務者は、次の公的制度の利用をご検討ください。行政などの信頼できる機関が提供してくれるサービスなので、総量規制の抜け道・闇金などを利用するよりもよほど安心して頼ることができます。

制度 概要
①生活保護制度 最低限の生活を保障するために、必要に応じて各種扶助手当が支給される。
②緊急小口資金 生活福祉資金貸付制度の一環として、資金繰りの緊急性が高い人に無利子・無担保で20万円を上限に貸付け。
③母子父子寡婦福祉資金貸付 ひとり親世帯のために、生活資金・教育費などを貸付け。
④求職者支援資金融資制度 ハローワークで申込み可能。就労支援と給付金制度が利用できるので、お金をもらいながら働き口を探せる。
⑤年金担保貸付制度 年金受給額が不足して生活している人のための公的支援制度。
⑥専門機関への相談 借金問題を解決してくれるわけではないが、困窮状態脱出に役立つアドバイスを無料でしてくれる。市役所の無料相談・消費生活センター・奨学金相談センター・法テラスなどを活用しよう。

これらの公的支援制度を活用すれば、自立した生活環境を整えられるはず。生活が安定すれば家計収支も落ち着くでしょうし、毎月の返済額を用意しやすい状況にもなるでしょう。

もちろん、①~⑤の制度を利用するためにはそれぞれ世帯要件・収入要件などを満たす必要があるので、まずは行政などの窓口までお問い合わせください。

なお、これらの公的支援制度を利用して受け取ったお金を借金返済に充てることは禁止されています。受給・貸付けが停止されるリスクもあるため注意しましょう。

借金がクセになっている人は今すぐ状況改善を行うことがおすすめ

確かに、「もう少しお金があれば生活が楽になる」「追加融資を受ければ返済を継続できる」という気持ちを抱いてしまうのは仕方のないことです。

しかし、ここまで紹介してきたように、総量規制の抜け道を頼るだけではただの”その場しのぎ”、前向きに借金問題を解決することはできないでしょう。

特に、今まさに借金の返済に苦しんでいるのなら、債務整理に踏み出すのがおすすめです。もし、自分の力だけではどうしようもない状況なら、借金問題を根本的に改善できる債務整理の利用をご検討ください。

総量規制は返済不可能を見極めるボーダライン

実は、総量規制は借金の返済可能性を見極めるボーダーラインとしても役立つ指針です。借り入れ可能額の上限を定めるだけの役割を担っているのではありません。

年収の1/3の借金額を背負っている現状は、借金の返済可能性という意味では危険な状態です。

たとえば、年収300万円の債務者が総額100万円の借金を年利率15%の条件で借り入れているとき、100万円だけを返済すれば完済と扱われるのではありません。毎月の返済額・返済期間に応じて、次の利息負担が発生するため、想像以上の返済負担を知られることになります。

毎月の返済額 返済期間 利息総額
2万円 79ヶ月 579,052円
3万円 44ヶ月 301,674円
5万円 24ヶ月 157,936円

ギリギリの生活のなか、毎月2万円を返済しつづけたとしても、完済までに7年近くの月日がかかります。利息負担総額は月給の何倍にも及び、家計への負担は想像以上に厳しいものになります。

その一方で、できるだけ利息負担総額を抑えるために無理をして毎月5万円ずつ返済したとしても、完済までに2年を要することに。それでも、利息だけで約16万円の負担です。

総量規制で「年収の1/3」が目安とされているのは、現実的に考えてこれ以上の借金を背負うと健全な生活を過ごせないリスクが高まるからです。今すでに総量規制に抵触するレベルにまで借金が膨らんでいるのなら、「完済は不可能だ」と言われているのだと考えるのが素直でしょう。

このまま借り続けるといずれ破産する可能性あり

どれだけ厳しい状況に置かれていたとしても、総量規制の抜け道を頼れば返済生活を継続できると藁にもすがりたくなるのも当然です。

ただ、総量規制ギリギリまで借り入れをしている債務者がさらに融資を重ねてしまうと、借金返済のために借金を繰り返しているだけの状況になるだけ。完済が遠のくばかりか、翌月の支払いさえ間に合わず、破産が現実的な存在になってしまいます。

総量規制の抜け道は、ただの追加融資。借金問題を劇的に改善できるような裏技ではないということを胸に刻みましょう。

手遅れになる前に借金問題に目をむけることが大切

厳しい借金返済生活がつづくと、どうしても目先の返済日のことばかりを考えてしまいがち。数年先の完済日はおろか、数ヶ月先の生活のイメージもわかなくなってしまうでしょう。「お金がない」という恐怖心は、それだけ債務者を精神的にも追いやってしまうものです。

ただ、契約書を交わしてお金を借りた以上、どれだけ現実から目を背けたとしても、勝手に状況が改善することはあり得ません。無視したり、放置をつづけたりしてしまうと、手遅れになってしまいます。

今の借金問題を改善できるのは債務者自身だけです。もし、少しでも「今の生活から抜け出したい」「借金生活を終わらせて人生をやり直したい」と感じているのなら、まずは目の前にある借金問題に真正面から向き合う覚悟をもってください。

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おすすめは債務整理!行うメリット4つのメリット

借金返済で苦しんでいる債務者が押さえるべきことは、どのような借金問題でも債務整理を利用すれば合法的に返済状況を改善できるということです。

債務整理とは、借金問題で苦しむ債務者に許される借金救済制度のこと。国が認めた合法の制度なので、後ろめたい気持ちを抱く必要は一切ありません

そして、債務整理を利用すれば、特に、弁護士などの専門家に依頼をして手続きを進めれば、次の4つのメリットが手に入ります。

  • ①専門家目線で債務者に適した手続きを選択してくれる
  • ②債権者からの取り立てが止まる
  • ③闇金からの借り入れは無効だと主張してくれる
  • ④自力完済に向けたアドバイスも提案してくれる

それでは、債務整理を弁護士に依頼するメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。

①専門家目線で自分に合った手続きを選択してくれる

債務整理には、自己破産・個人再生・任意整理の3種類の手続きが用意されています。

これから債務整理を利用しようという債務者側で自分に適した手続きを選択しなければいけません。

  • 自己破産:裁判所を利用する手続き。原則として、すべての借金返済義務が免責される。
  • 個人再生:裁判所を利用する手続き。返済中の住宅ローンの特則などを利用しながら、借金総額の大幅減額を狙える。
  • 任意整理:裁判所を利用しない手続き。利息の支払い免除などを債権者と直接交渉するため、スムーズに借金問題解決の結果を得られる。

ただし、自己破産・個人再生・任意整理の各手続きにはデメリット・注意点なども多数存在するため、各制度の特徴を踏まえたうえで自分に合った手続きを選択する必要があります。

債務整理の実績豊富な専門家なら、債務者の収入・家計・借金の内容などを総合的に考慮して、生活再建に役立つ手続きを選択してくれるでしょう。したがって、債務整理を利用するのなら、かならず事前に弁護士などの専門家に相談のうえ、適切に状況判断してもらうことを強くおすすめします。

②債権者からの取り立てが止まる

債務者を苦しめる要因になるのが、債権者からの取り立てです。執拗に繰り返される督促は、債務者を精神的に追いつめ、借金問題に向き合う勇気を奪ってしまいます。

債務整理を利用すれば、手続きをスタートした段階で債権者からの取り立てがストップします。また、弁護士に債務整理を依頼すれば、手続きがスタートする前の段階で債権者からの連絡が止まるというメリットが得られます。

債務整理の依頼を受けた弁護士の最初の仕事は、整理対象になるすべての債権者に対して”受任通知(介入通知・債務整理開始通知)”という書面を送付することです。受任通知には債権者からの取り立てを止める効力があるので、この書面が届いた以降は一切の督促行為が法律上禁止されます(貸金業法第21条1項9号)。

したがって、債務整理を依頼すれば、債務者は早々に債権者からのプレッシャーから解放されることに。これによって、取り立てストレスのない平穏な環境で生活再建に向けた準備を進められるでしょう。

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③闇金からの借り入れは無効だと主張してくれる

総量規制の抜け道を探している債務者のなかには、すでに闇金からの融資に頼ってしまったという人もいるはず。

債務者個人だけでは闇金対策を取るのは難しいですが、弁護士などの専門家に依頼をすれば闇金に対して契約の無効を主張して関係を断ってくれます

実は、闇金との間で締結した金銭消費貸借契約は無効です。貸金業法に違反する違法な闇金に対しては一切お金を返済する必要はありませんし、返済済みのお金を取り戻すことも可能です。

もっとも、現実的に闇金からお金を取り戻すのは簡単ではありません。弁護士が介入したと分かると、摘発をおそれて逃げてしまうからです。

ただ、弁護士が無効主張してくれるだけで、それ以降闇金からの取り立て・闇金への返済はなくなります。何をするか分からない闇金との関係がなくなれば、消費者金融カードローンなどからの借金だけに集中して前向きに取り組めるでしょう。

④自力完済に向けたアドバイスも提案してくれる

弁護士などの専門家は、何が何でも債務整理の利用を勧めるというわけではありません。

債務者の状況次第では、少しの工夫を凝らすだけで自力完済できるというケースもあるため、適切に状況をカウンセリングしたうえで、「債務者の生活再建にもっとも役立つ方法」を提案してくれるでしょう。

そもそも、自己破産・個人再生・任意整理のどの手続きを利用したとしても、ブラックリストへの登録などのデメリットが発生します。つまり、債務整理を利用する以上は、一定のデメリットは甘受しなければいけないということです。

それならば、債務整理を利用せずに自力完済が望める債務者については、債務整理以外の手法で生活再建を目指すのが適切だといえるでしょう。たとえば、闇金対応だけで借金問題を解決できるなら債務整理は不要ですし、家計の無駄を節約するだけで返済額を充分に余裕できる環境になるのなら、今日からでも生活再建に向けたステップを歩み出せるはずです。

このように、借金問題に強い専門家は、常に「債務整理以外の選択肢」も視野に入れたうえで債務者の生活再建をサポートするもの。借金問題でお悩みであるのなら、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

総量規制の抜け道は、銀行の商品を頼る・除外貸付け・例外貸付け・年収アップの4つの方法です。年収アップ以外の3つの方法の実態は「追加融資」でしかなく、債務者の生活が今よりも疲弊するリスクが高まります。

借金返済に苦しむ債務者が最初に押さえるべきことは、「総量規制ギリギリまで借り入れをしている現状に対する危機感」です。今のままの状態がつづくと、近い将来かならず返済生活は行き詰まり、取り返しのつかないことになりかねません。

したがって、借金問題を克服して人生をやり直すためには、総量規制の抜け道を探るのではなく、真正面から借金問題に向き合う勇気をもつことがポイント。特に、債務整理を利用すればかならずと言っていいほど借金問題を改善できるため、明るい未来に向けて着実に歩み始めることができます。

専門家に相談をすれば自分に合った道筋を示してくれるので、まずは相談することから始めましょう。

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よくある質問

Q. 総量規制って、なんですか?
A.

総量規制とは、借り入れ上限金額を定めたものです。年収の3分の1を超えるような借り入れは禁止されています。ただし、銀行からの借り入れ・除外貸付け・例外貸付けなどは対象外です。

Q. 総量規制を回避する方法はありますか?
A.

あります。総量規制は、貸金業者(主に消費者金融・クレジットカード会社など)が対象なので、銀行は該当しません。よって銀行からの借り入れは自由にできます。その他、除外貸付け(主に住宅ローンや自動車ローン)や例外貸付け(主におまとめローン)も総量規制の対象外ですので借り入れができます。

Q. 総量規制に引っかかってしまう場合、もうお金を借りることはできませんか?
A.

どうしてもお金が必要な場合は、お近くの市区町村の窓口で相談してみましょう。例えば、緊急小口資金という制度は、無利子・無担保(上限20万円)でお金を貸してくれます。また、合法的に借金を整理する方法(債務整理)もあります。債務整理に関しては、弁護士等にご相談ください。