代位弁済通知書は強制執行直前のサイン!無視するデメリットと差し押さえ回避の方法を解説

代位弁済通知書は強制執行直前のサイン!無視するデメリットと差し押さえ回避の方法を解説

代位弁済通知書とは、「債務者に代わって保証会社・保証人が債権者に弁済をしたこと」を通知する書類のこと。保証会社等が債務者に対する求償権を取得するため、代位弁済をきっかけに、債務者は保証会社から借金残債を一括請求されることになります。

ここで注意を要するのは、保証会社が借金・家賃・住宅ローンなどの取り立てを実行することになるので、今までよりも厳しい対応をとられる可能性が高いということ。指定期日までに残債の一括請求に応じることができなければ、強制執行が実行されて財産・給与などが差し押さえられてしまいます

したがって、代位弁済通知書を受け取った債務者は、できるだけ早期に強制執行を回避するための対処法に着手しなければいけません。そして、もし指定期日までに借金残債(及び遅延損害金)全額を用意するのが難しい状況なら、債務整理という救済措置を利用するべきです。

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、強制執行回避・返済状況の改善という目的を効果的に達成してくれるはず。強制執行まで時間の猶予が限られているので、できるだけすみやかにご相談ください。

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もくじ

代位弁済通知書は保証会社が借金全額の肩代わりをした書類

代位弁済通知書とは、債務者の借金を保証会社が肩代わりしたことを知らせる書類のことです。

そもそも、銀行のカードローンや住宅ローン・賃貸物件などを契約する際には、「債務者が債務の履行を怠った場合には、〇〇保証会社が代位弁済を実施する」という代位弁済についての条項が記載されているのが一般的です。

もし「債権者がお金を貸した」「債務者が返済を滞納した」という状況がつづくと、債権者が取り立て業務の負担を強いられ、また、いつまでも融資額の返済を受けられないという意味における負担を強いられることに。そこで、提携の保証会社による代位弁済を実施することによって、「保証会社が債権者の金銭的なマイナス分を補填し、債権者に代わって債務者への取り立て業務の全責任を負う」という結果がもたらされ、元々の債権者側の負担が克服されることになります。

つまり、代位弁済は「債権者と保証会社」だけのやり取りで完結するものだということ。原則として、借金等の返済を滞納している債務者側は、「代位弁済をしないで欲しい」「代位弁済をする前に連絡が欲しい」という主張をすることができません。

ただ、債務者が知らない間に代位弁済が実施されてしまうと、「家計に余裕が出来たから借金を返済しよう」となったとしても、債務者は誰に返済をすれば良いのか分からない状況になってしまいます(もしくは、代位弁済後に誤って元の債権者に返済をするリスクも発生します)。

そこで、保証会社が債権者に対して代位弁済を実行した場合には「代位弁済通知書」を債務者宛に郵送することによって、「代位弁済があった事実」「今後は保証会社が借金の返済先になること」「保証会社に対する具体的な返済方法」などが告知されるという手順が取られるというわけです。

代位弁済とは?手続きの流れをわかりやすく説明

代位弁済では、「保証会社・保証人が「求償権」を取得し、債務者が「期限の利益」を喪失することによって残債の一括返済義務を負担する」という一連の出来事が発生します。

そもそも、保証会社が肩代わりをしてくれたからといって、債務者自身の借金返済義務が消滅するわけではありません。あくまでも、「債務者の債権者に対する返済義務」が「債務者の保証会社(代位弁済者)に対する返済義務」に転化しただけ。「返済先が債権者から保証会社に変更になった」と理解すればわかりやすいでしょう。

そして、注意を要するのが「債務者が一括請求を受ける」というポイント。従来は債権者が借金の取り立てを行っていましたが、代位弁済後に保証会社が法的関係に組み込まれることによって、債務者はこれまで以上に厳しい立場に置かれることになります。

そこで、代位弁済の流れ・当事者間における権利義務関係の変更などについて、さらに具体的に見ていきましょう。特に、債権者から保証会社への変更によって、借金等の回収の「本気度」が変わってくるので注意が必要です。

  • 債務者の長期延滞が原因で保証会社が「代位弁済」を実施
  • 代位弁済後は保証会社が債務者に対する「求償権」を取得
  • 求償権に基づき保証会社が債務者に「残債の一括請求」を実行

代位弁済の流れを理解するには、「債権者」「保証会社」「債務者」の3者が存在することを把握したうえで、誰が金銭的な負担を背負っているのかという視点をもつのがポイントです。

債務者の長期滞納が原因で保証会社が「代位弁済」を実施

債務者に長期延滞などの債務不履行が発生した場合、保証会社が代位弁済を実行します。これによって、債務者が債権者に負担していた全債務について、保証会社が債権者に支払いをするため、「債権者の有する債権は充当された」と取り扱われます。

代位弁済が実施される根拠となる事情は各契約書に記載されていますが、基本的には、「これ以上は債務者からの自主的な返済が期待できない、と債権者側が判断するのが当然な事情」がこれに当たります。

具体的には、次のような事情が挙げられます。

  • 2~3ヶ月以上の延滞
  • 債務者が連絡義務事項の届出を怠った(住所変更・転職など)
  • 債務者の他社の借り入れ状況・返済状況が悪化した
  • 反社会的勢力との関わりが判明した

当初の借り入れ契約時に、代位弁済を内容とする保証契約にもサインをしているはず。つまり、ここに列挙したような事情が発生した場合には、債務者側が代位弁済を拒絶することはできません

どうしても代位弁済を避けたいという債務者は、延滞が生じたタイミングで債権者に自ら連絡をして今後の返済計画について具体的な交渉を行うか、滞納分についてできるだけすみやかに入金しましょう。

代位弁済後は保証会社が債務者に対する「求償権」を取得

保証会社が代位弁済を実施すると、保証会社が債務者に対する「求償権」を取得します。

保証会社が債務者の代わりに債権者に支払いをしたままでは、保証会社が損失を被ることになります。本来は債務者が弁済すべき借金だったわけですから、保証会社と債務者間の利害調整のために、「求償権」という権利に基づいて債務者への請求が可能になるという流れです。

つまり、求償権とは、「債務者の代わりに債権者に返済をしたので、これからは保証会社に対して返済をしてください」と主張できる権利のこと。代位弁済後に保証会社が求償権を取得したことを知った債務者は、債権者ではなく保証会社に返済をしなければいけません

仮に、代位弁済通知書を受け取った後に債権者に振り込みをしたところで、借金残債は一切減ったことにはならないので注意が必要です(債権者に支払った金銭については「不当利得返還請求」によって取り戻すことができます。ただし、事務処理負担を債務者側が強いられるという意味で負担が重くなるので、代位弁済通知書を受け取った後は債権者に振り込むべきではありません)。

求償権に基づき保証会社が債務者に「残債の一括請求」を実行

求償権を取得した保証会社は、債務者に対して「残債の一括請求」を実行します。延滞している数ヶ月分の滞納額だけではなく、借金残債全額の一括返済を求められる点を押さえておきましょう。

本来、「毎月の約定返済日に指定された金額を分割払いする」という方法で完済が目指されていました。金銭消費貸借契約書にも分割払いの方法や毎月の返済額についての定めが記載されているため、例外的な事情が一切存在しない限りは、債権者側が分割払いの金額以上の支払いを求めることはできません(債務者側から自主的に「毎月の返済額」以上の金額を返済することは可能です)。

つまり、「分割払いを継続して完済を目指すこと」は債務者に与えられた権利だと考えられます。この「分割払いを継続する権利」のことを、法律の専門用語では「期限の利益」と表現します。「期限の利益があるから分割払いができる」「期限の利益があるから返済日まで支払いを待ってもらえる」という構造です。

ただし、期限の利益はいついかなる時でも債務者に与えられるものではなく、「一定の事情が発生した場合には、債務者は”期限の利益を喪失する”」と金銭消費貸借契約書には記載されている点に注意しなければいけません。つまり、契約書に記載されている「期限の利益喪失条項」に抵触する場合には、その後分割払いは認められず、借金の残債を全額一括で返済する義務が発生することを意味します。

そして、長期延滞が原因で代位弁済が実行された場面では、債務者の延滞状況が悪質・深刻だと判断された結果、期限の利益を喪失しているのが一般的です。

したがって、代位弁済が実行され、保証会社が求償権に基づく支払い請求をしてきた場合には、ほとんどのケースで「残債の一括返済」が求められることになります。指定された期限までに全額を返済できなければ、強制執行という法的措置によって無理矢理財産・給与などが差し押さえられることになるだけ。保証会社からの一括請求に応じることができない場合には、すみやかに保証会社に連絡をして分割払いの再交渉をするか、弁護士・司法書士に債務整理を依頼することを強くおすすめします。

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第三者弁済・債権譲渡との違い

代位弁済と似た専門用語に、「第三者弁済」「債権譲渡」というものが挙げられます。

第三者弁済とは、「債務者以外の第三者が返済を実行すること」。代位弁済も第三者弁済の一種です。ただし、代位弁済は「契約当初に予定されていた保証会社・保証人が弁済をすること」を指すのに対して、第三者弁済は「保証会社・保証人以外の第三者(たとえば家族・知人など)が弁済をすること」という分類が一般的です。

債権譲渡とは、文字通り「債権が譲渡されること」です。債務者から見たとき、「債権者が変更される」という事態が発生すれば、債権譲渡が行われたことを意味します。この意味で、代位弁済でも債権譲渡は起こります。ただし、債権譲渡の典型例は、保証会社以外の第三者(たとえば債権回収会社)が債権を取得する場面で、保証会社・保証人が代位弁済によって債権を取得する場面はあまり念頭に置かれません。

なお、保証会社が代位弁済によって債権を取得した後、さらに債権回収会社に債権譲渡が行われるケースも少なくありません。債権回収会社(サービサー)が借金の取り立てを担当する段階に移行すると、いよいよ本格的に法的措置が実行される可能性が高まっていると考えられるため、強制執行を回避するなら早期に債務整理に着手しなければいけません。

代位弁済通知書を無視すると生じる6つのペナルティ

保証会社から代位弁済通知書が届いた場合、指定期日までに残債の一括返済義務を履行しなければいけません。それほど、借金などの延滞状況が深刻になっているということです。

代位弁済通知書を無視すると、次の6つのペナルティが発生します。

  • ①ブラックリストに登録される
  • ②分割払いへの切り替えが難しくなる
  • ③連帯保証人に迷惑がかかる
  • ④家賃を滞納すると強制退去のリスクが生じる
  • ⑤代位弁済通知書送付後も遅延損害金は増えつづける
  • ⑥強制執行が実行される

それでは、代位弁済通知書を無視することによって生じる6つのペナルティについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。

①ブラックリストに登録される

代位弁済が実行されて債務者の手元に代位弁済通知書が届くのは、延滞期間が2ヶ月~3ヶ月になったタイミング。延滞期間が2ヶ月~3ヶ月に及ぶと、信用情報機関に事故情報が登録されて、ブラックリストに登録される可能性が高いです(過去の滞納歴次第では、もっと早い段階でブラックリスト情報が登録されるケースもあります)。

信用情報機関とは、各人の信用情報(年収・勤続年数・ローン返済状況等)を管理する団体のこと。日本には、全国銀行個人信用情報センター(KSC)株式会社日本信用情報機構(JICC)株式会社シー・アイ・シー(CIC)の3社が存在します。

銀行・消費者金融カードローン・カード会社などの金融機関は、かならず信用情報機関の1つまたは複数に加盟をしています。そして、各信用情報機関同士でも各人の信用情報が共有されているので、「どこかの金融機関で生じた金融事故情報は信用情報機関を介してすべての金融機関に共有される」という事態が発生することに。これによって、長期延滞が原因でブラックリストに登録されると、次のデメリットが生じるのを避けられません。

  • 現在発行中のクレジットカードが強制解約される
  • クレジットカードの新規発行も不可能
  • 新規のローン・借金の契約審査に通らない
  • 信販系保証会社付きの賃貸物件の入居審査に通らない
  • 奨学金の連帯保証人・保証人資格を失う
  • 携帯電話・スマートフォンの端末代金を分割払いできない

ただし、長期延滞が原因で信用情報機関に事故情報が登録されるのは約5年程度。その期間が明ければブラックリスト情報は抹消されるので、ふたたび何の制限もない状態で日常生活を送ることができます。

なお、代位弁済が実行された債務者の場合、ほとんどのケースで代位弁済に前後するタイミングで信用情報にキズが付いてしまっているのがほとんどです。つまり、「ブラックリストに登録されないためにどうすれば良いのか」を考えるのではなく、「どうすればブラックリスト情報の解除を前倒しできるのか」という点に集中すべきです。

そして、これについては、ブラックリスト情報が登録された根本原因である借金問題を解決する以外の方法はありません。自力で残債の一括請求に応じることができないのなら、できるだけ早いタイミングで債務整理によって借金問題を改善し、ブラックリスト解除のタイミングをはやめましょう

②分割払いへの切り替えが難しくなる

代位弁済通知書が郵送されると、それ以降は保証会社から残債の一括返済を求められます

ここで注意しなければいけないのは、保証会社とのやり取り自体は初めてかもしれませんが、すでに「期限の利益を喪失」した状態であるため、原則として分割払いに切り替えることはできないという点です。

もちろん、後述の家賃滞納のケースのように、債務者の生活基盤を確保する要請が強いなど、比較的交渉の余地が残されている例外的な場面なら、残債の一括請求を分割払いに戻してもらうことは不可能ではありません(もっとも、この場合でも具体的な返済可能性を明確な根拠を提示して交渉する必要があります)。

しかし、原則として、「期限の利益を喪失」した債務者にふたたび期限の利益が与えられることはありません。分割交渉に可能性を見出すのではなく、債務整理という確実性の高い返済状況改善策に踏み出すべきでしょう。

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③連帯保証人に迷惑がかかる

代位弁済通知書を無視すると、連帯保証人に迷惑がかかるリスクが発生します。

たとえば、消費者金融カードローンのカードローンなどは無担保で契約できるので連帯保証人への影響について考える必要はありません。

これに対して、住宅ローン・賃貸物件・奨学金などでは、契約時に連帯保証人を求められていることがほとんどのはず。主債務者が借金を滞納すると、連帯保証人がいつ残債全額の返済を求められてもおかしくない状況に追い込まれます。

連帯保証人の地位は、ほとんど債務者と変わらず、債権者の請求通りに義務を履行する必要があります。たとえば、「先に主債務者に請求をして欲しい(=催告の抗弁権)」「主債務者の財産を調査して差し押さえて欲しい(=検索の抗弁権)」「主債務者・他の連帯保証人の頭数で割った金額だけなら返済する(=分別の利益)」という反論の余地はありません

契約時に両親・親族に頭を下げて連帯保証人に名を連ねてもらったのに、主債務者の滞納が原因で迷惑をかけるのはできるだけ避けたいはず。連帯保証人に請求がいくだけでも迷惑なのに、残債全額の金銭負担や、連帯保証人が請求に応じることができない場合には連帯保証人自身の信用情報にキズが付く強制執行をかけられるなどの深刻なペナルティが発生することになります。

もっとも、連帯保証人が関係する借金問題は難易度が高いため、慎重に債務整理手続きを選択しなければいけません。高度な判断・利害調整が必要になるので、かならず弁護士・司法書士のアドバイスを参考にしてください。

④家賃を滞納すると強制退去のリスクが生じる

家賃滞納が原因で代位弁済通知書が届いた場合には、物件の賃貸契約を解除されて強制退去を強いられるリスクが発生します。

「賃借人の地位は強く保障されている」というのは、あくまでも借主が毎月確実に家賃を支払っている場合・滞納したとしても短期間で延滞を解消した場合だけに通用すること。家賃保証会社が代位弁済を実行して代位弁済通知書が手元に届くほど延滞期間が長期に及ぶ賃借人は強制退去を求められるのも当然でしょう。

一般的に、強制退去の目安とされるのは延滞期間が3ヶ月~半年に及んだタイミング。多くの不動産会社・家賃保証会社は6ヶ月の家賃滞納を目安に賃貸物件契約の解除に踏み出す運用をとっているので、物件からの退去を回避したい場合には、延滞期間が6ヶ月に至らない段階で家賃保証会社に連絡をしたうえで、分割払い・返済期限の猶予などを交渉しましょう。

⑤代位弁済通知書送付後も遅延損害金は増えつづける

代位弁済通知書を受け取った債務者は「残債の一括請求」だけではなく、遅延損害金のことも忘れてはいけません。なぜなら、借金等を滞納している以上、請求額全額を完済するまでは毎日遅延損害金が発生しつづけている状況だからです。

遅延損害金とは、滞納日数に応じて加算される罰金のようなもの。【借金残債 × 遅延損害金年利率 ÷ 365日 × 延滞日数】の計算式で算出されます。そして、多くの金融機関で遅延損害金年利率は20%と定められているように、債務者を返済苦に追い込んだ「利息」よりも厳しい条件が課されているのが一般的です。

たとえば、借金100万円を滞納して代位弁済通知書を受け取った債務者は、次のような高額の遅延損害金を強いられています。

  • 滞納1日:100万円 × 20% ÷ 365日 × 1日 = 約548円
  • 滞納1ヶ月:100万円 × 20% ÷ 365日 × 30日 = 約16,438円
  • 滞納2ヶ月:100万円 × 20% ÷ 365日 × 60日 = 約32,877円
  • 滞納3ヶ月:100万円 × 20% ÷ 365日 × 90日 = 約49,315円
  • 滞納6ヶ月:100万円 × 20% ÷ 365日 × 180日 = 約98,630円

借金残債が100万円の場合でも、代位弁済通知書を無視して最終的に強制執行が実行されるまでの約半年の間に遅延損害金だけで約10万円の負担が別途発生します。毎月2万円ずつ返済していたとすると、約5ヶ月分が無駄になる計算です。

つまり、借金問題解決を先送りにするほど債務者に課される金銭負担は重くなるということ。できるだけ楽な返済状況を作り出すためには、遅延損害金の発生額を抑えるために早期に債務整理に踏み出す必要があります。

住宅ローンの遅延損害金は「延滞分」を基準に算定される

住宅ローンのような高額長期貸付商品については、次の2点において消費者金融カードローンなどの遅延損害金とは異なる取扱いがされることが多いです。

  • 遅延損害金年利率は14%前後に設定されることが多い
  • 「借入元本総額」基準ではなく、「延滞分」基準で算出される

たとえば、2,000万円の住宅ローン残債を毎月10万円ずつ返済している状況で滞納が生じた場合には、【10万円 × 14% ÷ 365日 × 延滞日数】の計算式で算出されるということです。このように見ると、消費者金融カードローンなどからの借金を滞納した場合よりもペナルティが軽いようにも思えます。

ただ、住宅ローンは残債自体が高額になるため一括請求をされたときに自力で資金調達が難しいですし、マイホームを処分されるなどの取り返しのつかないペナルティが待っています。

したがって、「住宅ローンの遅延損害金負担は軽いから多少滞納しても問題ない」などと勘違いすることなく、返済状況改善に向けて具体的対策に踏み出しましょう。

⑥強制執行が実行される

代位弁済通知書を無視すると、最終的には強制執行という法的手続きによって債権の回収が目指されます。代位弁済通知書の送付は強制執行に向けて債権者側が準備活動に入った予兆だと判断しましょう。

強制執行とは、裁判所を利用して債務者の財産等を差し押さえる手続きのこと。「自主的に借金を返済しない債務者に対してはモノで支払わせるのもやむを得ない」という趣旨で用意されている制度です。

強制執行では、次のモノが差し押さえられることが多いです。何が差し押さえられるかを債務者側で決めることはできません。

強制執行の対象 注意点・波及的なデメリット
給与 ・給料手取り額44万円以下:手取り額の1/4が差し押さえ
・給料手取り額44万円以上:手取り額の33万円以上が全額処分
・会社から債権者に直接支払われるので天引きされた額面しか受け取れない
・会社に迷惑がかかり社会的信用を失う
・給料差し押さえを理由に解雇されることはない
預貯金口座 ・全額差し押さえられる可能性が高い
・別名義の口座に振り込んで強制執行逃れをしてもバレると処分対象になる
・家賃や公共料金の支払い額が不足する
・口座が凍結するリスクもある
債務者名義の財産 ・動産、不動産問わず差し押さえ対象になる
・マイホームが処分されると生活拠点を失う(引越し・転校など家族に迷惑も)
・一定の「差し押さえ禁止財産」だけ手元に残せる

強制執行が実行されるデメリットは、「二度と強制執行前の生活環境が戻ってこないこと」「会社・家族など債務者以外の人にも迷惑がかかること」の2点です。

また、強制執行は借金滞納額全額を回収するまで実行されつづけるという点にも注意しなければいけません。たとえば、給料差し押さえが実行された場合、残債全額を返済するまでは”毎月手取り給与額から1/4が天引きされた金額”しか受け取ることができないため、借金返済時よりも家計がひっ迫するおそれがあります。

したがって、「自分でお金を払えないから強制執行してもらった方が楽」などと考えるのは厳禁です。強制執行を回避しつつ借金返済状況を改善できる「債務整理」という手段が残されているので、代位弁済通知書を受け取った段階で手続きの準備に向けて動き出しましょう。

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代位弁済通知書送付後に強制執行を回避するための3つの方法

確かに、代位弁済通知書が届いたということは、「深刻な延滞状況にあるため強制執行が迫っていること」を意味します。もっとも、同時に、「今の段階なら強制執行回避・返済状況改善に向けて対処法をとるチャンスが残されている」と考えることも可能です。

幸いなことに、まだ強制執行に向けて具体的な手続きが裁判所に申し立てられたわけではないので、決して代位弁済通知書を無視することなく、次の3つの方法から実践できるものを選択してください。

  • ①自力で返済資金を用意して一括返済する
  • ②保証協会と分割払いの交渉をする
  • ③弁護士・司法書士に債務整理を依頼する

それでは、代位弁済通知書送付後に強制執行回避に役立つ3つの対処法について、それぞれ具体的に見ていきましょう。

①自力で返済資金を用意して一括返済する

代位弁済通知書及び残債の一括請求書に記載されている指定期日までに借金残債全額を自力完済すれば、強制執行を回避して借金問題を終わらせることができます。

ただし、代位弁済通知書送付後の残債の一括請求では、最終期限が1ヶ月の余裕もない期日が指定されるのがほとんどです。

したがって、家計収支バランスを整える・節約をするなどの時間のかかる返済資金工面方法ではなく、次のような方法で短期的に資金調達を実現しなければいけません。

  • 自宅のブランド品・高価ゲーム機器・不用品・家財道具などを売却する
  • 家族・親族・知人に融資を依頼する

所有物を売却する際にはできるだけ高額での成約を実現できる取引を見つけるのがポイント。たとえば、よくあるリサイクルショップに売り込んでも査定額が低くなる傾向が強いので、質流れ覚悟で質屋から融資を受けるなどの方法が効果的でしょう。

また、強制執行が迫った段階では「家族や知人に借金のことをバレたくない」などとこだわっている余裕はありません。親族・知人に立て替えてもらうことが出来れば強制執行は回避できるので当てがあるなら頼るべきです。ただし、金銭トラブルが原因で交友関係に亀裂が走るのはよくある話なので、トラブル回避のために借用書を準備のうえ、かならず約束通りに返済してください。

闇金や違法取引で資金調達するのは厳禁

強制執行を回避するためとはいっても何をやっても良いわけではありません。

まず、代位弁済通知書を受け取った債務者の信用情報にはキズが付いているので、合法的に貸金業を営んでいる消費者金融カードローンなどからの借り入れは不可能です。

次に、ブラックリストに登録されている債務者でも利用できる取引には、違法な取引・闇金リスクが存在するので手を出すべきではないのは明らかです。

たとえば、闇金から借り入れをすると違法利息厳しい取り立てによって今よりも厳しい生活状況に追い込まれます。また、口座買取・スマホ買取・ひととき融資などに手を出すと、犯罪に巻き込まれる危険性があるだけではなく、債務者自身が刑事訴追されるリスクも生じます。

そもそも、他社からの借り入れなどの「楽な手段」でお金を工面しようという発想自体が間違いです。自力で返済資金を工面できない状況なら、迷わずに債務整理に踏み出すべきでしょう。

住宅ローン滞納が原因で代位弁済通知書が届いたなら任意売却を視野に入れる

消費者金融カードローンのカードローン・家賃の滞納であれば、残債の一括返済期限までに自力で返済資金を用意する可能性は残されています。

これに対して、住宅ローンのような高額融資商品を滞納して代位弁済通知書が届いた場合には、1ヶ月以内に数百万円・数千万円の返済資金を用意するのは不可能に近いでしょう。

となると、「住宅ローン滞納が原因で担保権が実行されて競売にかけられる」という未来が待っているだけですが、抵当権などの担保権が実行されて競売手続きで売却された場合には「市場価格の半額~7割程度の価格での成約しか見込めない」というデメリットに注意しなければいけません。

たとえば、住宅ローン残債2,000万円の状態で不動産が競売にかけられたとしましょう。当該不動産の市場相場は2,400万円程度、不動産仲介業者に依頼をして一般不動産市場で買主を募れば「住宅ローン残債を完済したうえで400万円が手元に残る(アンダーローン)」という状況を作り出せたはず。これに対して、不動産競売手続きを経た結果、市場相場の7割である1,680円での落札となった場合には「落札額全額を住宅ローン残債に充当しても320万円の借金が残る(オーバーローン)」という結果となります。

「マイホームを手放す」点で共通しているのに、売却手続きが異なるだけで「借金が残るor現金が残る」というのは雲泥の差。今後の生活再建の難易度も大幅に変わってくるはずです。

したがって、住宅ローン滞納が原因で代位弁済通知書が手元に届き、かつ、自力で返済資金を用意できないために手放すことを検討する場合には、差し押さえが実行される前に「任意売却」をご検討ください。任意売却専門の不動産業者に相談をすれば、住宅ローン残債との関係・所得税関係の調整・引越しのサポートなどを期待できるでしょう。

②保証協会と分割払いの交渉をする

代位弁済通知書が届いた場合には、返済できるか否かにかかわらず、まずは保証会社に連絡をとって「返済の意思はあること」を伝えると同時に、期限の猶予・分割払いの交渉をおすすめします。

もちろん、すでに深刻な延滞状況にある債務者に対してふたたび分割払いへの変更を認めてくれる可能性は低いのが実情です。ただ、「返済の意思があること」を提示するだけでも、強制執行までの時間稼ぎができる可能性が高まります。

強制執行までの時間を稼ぐことができれば、自力返済に向けた資金調達や債務整理の準備に時間を割くことができるはず。時間の猶予があった方が慎重に手続き選択できるでしょう。

なお、特に、家賃を滞納して代位弁済通知書及び残債の一括請求書が届いた場合には、保証協会との交渉が有効な手段です。

なぜなら、消費者金融カードローンなどの借金を滞納した場合とは異なり、家賃滞納により強制退去を強いられる場合には債務者側が「住む場所を失う」という深刻なペナルティを強いられるため、返済の目途が立つ場合には分割払い・支払い期限の猶予を交渉しやすいからです。

保証会社の相談窓口に連絡をして、現在の収入状況や延滞理由・具体的な分割返済のプランを提示して、賃貸物件に住みつづける道を模索しましょう。

家賃や生活費を工面できないなら公的支援制度を活用しよう

保証会社が分割払いなどに応じてくれないケースでは、期限までに滞納額を完済できなければ強制退去が待っています

ただ、家賃を滞納している債務者のなかには、転居費用を捻出できない・生活費を賄うのさえ難しいという人も多いはず。このような状況なら、公的支援制度を活用して生活基盤を確保する道をご検討ください。

次の各制度を利用するには一定の要件・手続きを充たす必要がありますが、今後の生活立て直しに活用できるはずです。お住まいの自治体の相談窓口まで詳細をお問い合わせください。

③弁護士・司法書士に債務整理を依頼する

代位弁済通知書を受け取ったが残債の一括返済に応じることができない場合には「債務整理」が有効な手段です。

債務整理とは、国が認めた借金減免制度のこと。合法的に借金返済状況を改善できるだけではなく、目前に迫った強制執行を回避することもできます

そして、債務整理を利用する際には、弁護士・司法書士という法律の専門家に依頼するのがおすすめです。なぜなら、専門家に債務整理を依頼することによって次の3つのメリットが得られるからです。

  • 専門家は適切な債務整理手続きを提案してくれる
  • 専門家に債務整理を依頼すれば債権者からの取り立てが停止する
  • 借金問題は無料で相談できることが多い

それでは、債務整理を弁護士・司法書士に依頼するメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。

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専門家は適切な債務整理手続きを提案してくれる

「債務整理を利用する」といっても、具体的にどの手続きを利用するかを決めなければいけません。

実は、債務整理には、自己破産・個人再生・任意整理の3種類の手続きが用意されているので、次のような各手続きのメリット・デメリットと債務者の置かれた状況との相性をチェックしたうえで手続きを選択する必要があります。

債務整理 メリット デメリット
自己破産 ・借金返済義務が免責
・収入問わず誰でも利用できる
・財産を処分される
・借金の原因を問われる
・税金、慰謝料などは免責対象外
・職業制限、移動制限など
個人再生 ・借金元本額を最大1/10に減額
・3年の完済計画を作り直せる
・住宅ローン特則を利用できる
・安定した収入が前提
・裁判所の手続きが複雑
任意整理 ・裁判所を利用しないので楽
・直接交渉で将来利息をカット
・元本のみの3年~5年の分割計画
・連帯保証人への迷惑を回避できる
・強制執行を停止する効力なし
・比較的減額効果が弱い

たとえば、消費者金融カードローンからの高額な借金を滞納した債務者が住宅ローンも抱えている場合には、個人再生・任意整理がおすすめ。なぜなら、個人再生なら住宅ローンだけを切り分けたうえで消費者金融カードローンの借金について大幅減額を狙えるからです。また、任意整理なら代位弁済通知書送付後でも分割払いに戻すことができるでしょう。

また、消費者金融カードローンへの返済・住宅ローンの返済のすべてが行き詰まっているという債務者なら、個人再生・自己破産が有効。なぜなら、個人再生で住宅ローン以外の借金を整理すれば住宅ローンとの返済両立をしやすくなりますし、自己破産ならすべての返済義務を免責できるからです。「マイホームを手元に残したいなら個人再生、マイホームを諦めるのなら自己破産」というように、債務者の希望を反映させることも可能です。

このように、債務者の状況・希望次第で適切な手続きは異なります。弁護士・司法書士に相談すれば考えられる解決法パターンのなかから債務者に適した選択肢を提案してくれるので、効果的に生活再建を目指すことができるでしょう。

専門家に債務整理を依頼すれば債権者からの取り立てが停止する

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、債権者・保証会社・債権回収会社すべての取り立てが停止します。

なぜなら、弁護士・司法書士が債権者に送付する「受任通知(介入通知・債務整理開始通知)」には取り立てを停止する効力があるからです。

携帯電話への問い合わせ・郵便物の送付・自宅や会社への電話連絡・自宅訪問など、すべてのストレスから解放されるので、落ち着いた環境で債務整理の準備を進められるでしょう。

借金問題は無料で相談できることが多い

債務整理に力を入れている専門家は相談料無料で債務者に対応してくれることが多いです。

「お金がないから相談できない」「お金がないから債務整理を利用できない」という悩みを抱える債務者ほど、本来債務整理によって救われるべき存在のはず。専門家は各債務者が置かれた厳しい家計状況をしっかり理解しています。

同時に、債務整理費用の分割払い・家計管理方法の具体的なアドバイス・法テラスの費用立て替え制度との連携など、困窮した債務者に必要なサポート体制も充実。まずはご自身の生活再建を考えるのが優先的です。できるだけ早いタイミングで専門家に問い合わせをしてください。

まとめ

代位弁済通知書は保証会社が債務者の借金を返済したことを告げる書面のこと。求償権を取得した保証会社が今後は厳しい取り立てを実施することが想定されるため、早期に残債の一括請求への対処法を検討しなければいけません。

ただ、自力で高額の借金残債全額を完済するのは簡単ではないはず。どうしても返済資金を工面できない場合には、弁護士・司法書士に債務整理をご依頼ください

代位弁済通知書の送付段階で債務整理に踏み出せば、強制執行を回避し、一括請求を分割払いに切り替えることも可能です。債務整理は生活再建に向けた着実なステップになるもの。強制執行が目前に迫っているので、すみやかに専門家にアドバイスを求めましょう。

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よくある質問

Q. 代位弁済通知書って、なんですか?
A.

代位弁済通知書とは、保証会社や保証人が債権者に弁済したことを債務者に知らせる文書のことです。この文書が来ると保証会社や保証人から借金の残り全額(残債)を一括請求されるので、ご注意ください。

Q. 代位弁済通知書を放置すると、どうなりますか?
A.

代位弁済通知書を放置すると、信用情報機関に名前が載る(ブラックリスト入り)・遅延損害金が日々加算される・強制執行(差し押さえ)されるなどの問題が起こります。また、ブラックリスト入りするとクレジットカードが使えなくなる、ローンが組めなくなるなど、日常生活に支障がでます。

Q. 代位弁済通知書が来たのですが、返済するお金がありません。どうしたらいいですか?
A.

弁護士に依頼して、債務整理をしてください。債務整理は合法的に借金を整理できる制度ですので、積極的に活用しましょう。なお、債務整理は3種類(自己破産・個人再生・任意整理)ありますが、どの債務整理が適しているかは各個人によって異なりますので、債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。