母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査の流れと審査で重視されるポイントを解説

母子父子寡婦福祉資金貸付金

子供を1人で育てているため満足に働くことができず生活が苦しい
物価が上昇していて児童扶養手当だけでは足りない

こんな悩みはありませんか。

子供の成長に必要な食材も満足に買えず、進学もままならない。

子どもを育てながらでは収入も低いため、消費者金融でも少額しか借りられず、返済の負担が大きいですよね。

そのような場合には「母子父子寡婦福祉資金貸付金」という公的な制度を活用してみてはいかがでしょうか。

少額でも定期的な収入があれば借入でき、条件を満たせば無利子の場合もあります。

この記事では、母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査基準と審査の流れ、必要書類について解説します。

この記事のポイント

  1. 審査で重視されるのは申請者の収入状況よりも返済への意思
  2. 連帯保証人の収入が十分にあれば申請者の収入が少なくても審査にはとおりやすい
  3. 申請から審査結果の受領まで1ヶ月〜2ヶ月かかる想定でいること

もくじ

母子父子寡婦福祉資金貸付金とはひとり親世帯がお金を借りられる公的融資制度

母子家庭や父子家庭、寡婦などで生活が苦しい家庭に対して、経済的自立をサポートすると同時に、生活の安定や子供の福祉を増進することを目的とした公的な融資制度が「母子父子寡婦福祉資金貸付金」です。

配偶者がいない場合でも、子供を保育園に預けて働きにでることはできます。

しかし、子供が発熱したりケガをしたときには連絡が入り、迎えに行かなければならず、実際のところはフルタイムでの勤務が難しいケースがほとんどです。

フルタイム勤務が難しければ必然的に所得は下がり、生活が困窮してしまうため、公的な制度として支援しています。

また、母子父子寡婦福祉資金貸付金には資金用途が定められていますが、12種類もの資金が準備されているため、まとまったお金が必要となるほとんどのケースを網羅しているでしょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金は12種類の資金用途から選ぶ

母子父子寡婦福祉資金貸付金の種類と用途は下表のとおりです。

あなたが今、借入を検討しているのであれば、どの資金が用途にあっているか確認してみてください。

資金の種類 資金用途
事業開始資金 事業を開始するのに必要な設備・什器・機械などにかかる購入費用
事業継続資金 現在営んでいる事業を継続する為に必要な商品・材料を購入する運転費用
修学資金 高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院、専修大学に就学させる為の授業料、書籍代、交通費などに必要な費用
技能習得資金 自ら事業を開始し又は会社などに就職する為に必要な知識技能を習得する為に必要な費用
修業資金 事業を開始し又は就職する為に必要な知識技能を習得する為に必要な費用
就職支度資金 就職する為に直接必要な被服、履物、通勤用自転車を購入する費用
医療介護資金 医療介護を受ける為に必要な費用
生活資金 知識技能を習得している間、医療、介護を受けている間、母子家庭又は父子家庭になって間もない者の生活を安定、継続する間、又は失業中の生活を継続しているのに必要な生活補給費用
住宅資金 マイホームの購入や家のリフォーム・リノベーション、増築などにかかる費用
転宅資金 前払い家賃や敷金礼金、仲介手数料などの初期費用、そのほか引越しにかかる費用
就学支度資金 学校への入学金や寮・下宿などへの入寮費、敷金礼金、制服などの購入費用
結婚資金 結婚式や披露編の費用、結婚するために必要な家具や道具、食器などの購入費用

例えば、離婚したばかりで収入が安定しない場合には「生活資金」を借りることができます。

子供の入学金や入寮費、授業料や教科書に必要なお金は「修学資金」「就学支度資金」で借りられるため、まとまったお金が必要になりやすい進学・進級のタイミングにもあっています。

貸付実績の約9割が児童の修学資金関係

令和2年度の母子父子寡婦福祉資金の貸付金額と件数は下表のとおりです。

種類 金額 件数
母子福祉資金 128億8,248万円 22,425件
父子福祉資金 7億5,285万円 1,368件
寡婦福祉資金 3億806万円 460件

このうち、約9割が児童の修学資金関係であることがわかっています。

国としても、困窮世帯の子供は学びの機会が圧倒的に不足していることを認識しており、貧困の世代間連鎖を断ち切るためには、最低限の機会保障ではなく、困窮体の子供に対する集中的な資源を投下する必要がある、という方針が支援の背景にあることも関係しているでしょう。

なお、あくまで経済的自立の支援・生活の安定を目的とした貸付ですので、投資や借金返済を目的とした使用はできない点に注意してください。

借入限度額は資金の種類によって異なる

母子父子寡婦福祉資金では、資金の種類によって借りられる限度額が異なります。

また、修学資金の場合には、高等学校や大学、大学院など子供を「どこ」に就学させるかによってもそれぞれ限度額が設けられています。

個人が母子父子福祉資金貸付金制度を利用してお金を借りる場合の限度額は下表のとおりです。

資金の種類 借入限度額
事業開始資金 3,030,000円
事業継続資金 1,520,000円
修学資金
  • 高校・専修学校:月額52,500円
  • 高等専門学校 1年〜3年:月額52,500円
  • 高等専門学校 4年〜5年:月額115,000円
  • 専修学校(専門課程):月額126,500円
  • 短期大学:月額131,000円
  • 大学:月額146,000円
  • 大学院(修士課程):月額132,000円
  • 大学院(博士課程):月額183,000円
  • 専修学校(一般課程):月額51,000円
  • ※私立の自宅外通学の場合
技能習得資金
  • 【一般】月額68,000円
  • 【特別】一括816,000円(12月相当)
  • 運転免許:460,000円
修業資金
  • 月額68,000円
  • 特別:460,000円
就職支度資金
  • 【一般】100,000円
  • 【特別】330,000円
  • (通勤のための自動車購入の場合)
医療介護資金
  • 【医療】340,000円
  • 特別:480,000円
  • 【介護】500,000円
生活資金
  • 【一般】月額105,000円
  • 【技能】月額141,000円
住宅資金
  • 1,500,000円
  • 特別:2,000,000円
転宅資金 260,000円
就学支度資金
  • 小学校:64,300円
  • 中学校:81,000円
  • 国公立高校等:160,000円
  • 修業施設:282,000円
  • 私立高校等:420,000円
  • 国公立大学・短大・大学院等:420,000円
  • 私立大学・短大・大学院等:590,000円
  • ※高校以上は自宅外通学の場合
結婚資金 300,000円

母子父子寡婦福祉資金では、複数種類の資金による借入が可能で、その場合の限度額は、各資金の限度額が合算されます。

例えば、生活資金と修学資金の両方を利用する場合、限度額は157,500円〜324,000円です。

ただし、これらはあくまで「限度額」ですので、返済能力やその他状況によって限度額よりも少ない金額となる恐れがあります。

児童扶養手当の対象外になれば限度額は増額される

児童扶養手当とは18歳までの児童を育てているひとり親世帯において、生活の安定と自立を促すための給付金です。

月額1万円〜4万円程度の手当が支給されます。

支給期限は「子供が18歳の誕生日から最初の3月31日を迎えるまで」となっていますので、その日以降は、児童扶養手当の支給は停止されます。

しかし、この手当が停止されたとしても、子供が大学や専門学校へ通う場合には学費や教科書代が必要です。

そこで、児童扶養手当の対象外になった場合には、修学資金・修業資金に限り、これまで支給されていた児童扶養手当の金額分が限度額に増額されます。

養育している児童が1人であれば、最大月額43,070円が限度額に加算されるというわけです。

連帯保証人がいれば無利子でお金を借りられる

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、子供本人が貸付を申請する場合を除いて、原則連帯保証人は不要です。

しかし、連帯保証人がいない場合には「修学資金」「就学支度資金」「修業資金」「就職支度資金」以外の資金では、年1.0%の金利が発生します。

その代わり、連帯保証人がいれば資金の種類にかかわらず金利が発生しません。

通常、カードローンを利用するよりも母子父子福祉資金貸付金を利用した方が、金利負担を抑えられるでしょう。

連帯保証人は誰でも指定できるわけではない

連帯保証人は誰でもよいわけではありません。

細かい条件は自治体によって異なる場合がありますが、原則、以下のような条件を満たしていることが必要です。

  • 連帯保証人に返済の意思があると認められること
  • 借入金の返済や税金、公的保険料、公共料金を滞納していないこと
  • 相当の資産または収入があること
  • 住所地と居住地が一致していること
  • 申請者の親族または連帯借受人の親族であること
  • 申請者と同一生計に属していないこと
  • 60歳未満であること

連帯保証人を依頼する際には、貸付主体となる自治体で定められた条件を確認するようにしてください。

ひとり親世帯の子供自身が貸付対象になるケースもある

下記の貸付金は、ひとり親世帯の子供が貸付対象になれます。

  • 修学資金
  • 修業資金
  • 就職支度資金
  • 医療介護資金
  • 就学支度資金

子供が貸付対象となった場合、学校を卒業または医療・介護が終了してから6ヶ月以降から返済が始まります。

借入してすぐに返済が始まるわけではないので、修学中に負担はかかりません。

また、無利子のため、場合によっては奨学金よりも負担が小さい可能性もあります。

ただし、子供自身が貸付対象となるには、親と子供両方の同意が必要です。

子供が内緒でお金を借りられないことと同じように、親も勝手に子供名義でお金を借りられません。

お互いに黙って借金を背負う、背負わせるということはできないので安心してください。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査基準

「母子父子寡婦福祉資金貸付金」はひとり親世帯の経済的な自立支援を主な目的としていますので、誰でも借りられるものではありません。

貸付対象となるための条件は最低限以下の3つを満たしていることが必要です。

  1. 配偶者がいないこと
  2. 雇用されていて定期的な収入を得ていること
  3. 子供を養育していなければ所得制限がある

そして、審査を通過するためには下記のような点も押さえておく必要があります。

  • 申請者の条件よりも返済に対する意思が重視される
  • 提出書類を事前に揃えておくと高評価
  • 借入希望額は必要最低限にする

1つずつ説明します。

1. 配偶者がいないこと

母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用するには、離婚や死別などで配偶者がいない必要があります。

この「配偶者」とは、事実婚のように書類上は配偶者となっていなくとも、事実上婚姻関係にあるような人も含まれるので注意してください。

死別または離婚したあとで、別の人と結婚している場合には貸付対象外です。

なお、暴力やハラスメントなどのやむを得ない事情で離婚が進まないような状態であれば、個人の事情にあわせて融通をきかせてもらえるケースがありますので、諦めず、まずは相談してみてください。

2. 雇用されていて定期的な収入を得ていること

母子父子寡婦福祉資金貸付金は返済義務があるため、貸付の対象者は返済に充てられる定期的な収入が必要です。

とはいえ、銀行や消費者金融ほど条件が厳しいわけではありません。

ひとり親家庭では独身者や配偶者がいる家庭のように十分な就業時間を取ることが難しい点は理解されています。

そのため、アルバイトやパートで月2万円〜3万円でも定期収入を得られていれば、貸付金を利用するための最低基準はみたします。

クラウドソーシングや日雇いの仕事ばかりでは、定期的な収入が見込めず、厳しい審査となる恐れがあります。

その場合、直近3ヶ月程度の所得証明書を面談時に持っていき、雇用されていなくても定期的な収入を得られていることを伝えましょう。

連帯保証人の保証能力が高ければ審査には通りやすい

連帯保証人を立てると貸付金の利息が無利子となる以外に、審査で優遇されるメリットがあります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査では、連帯保証人を立てた場合、申請者の返済能力ではなく連帯保証人の保証能力が重視されます。

したがって、申請者の収入が少なかったとしても、連帯保証人の収入が十分にあれば、保証能力が高くなりますので、審査に通りやすく、借入額も希望どおりとなりやすいです。

3. 子供を養育していなければ所得制限がある

子供が成長して扶養から外れたとしても、母子家庭の母親は「寡婦」として、母子父子寡婦福祉資金貸付金の対象です。

母子家庭のときと同様に、事業開始資金や住宅資金、医療介護資金などの借入ができます。

ただし、寡婦または40歳以上の配偶者がいない女性で子供を不要していない場合には、前年度の所得が203万6,000円を超えると原則、貸付対象外となっているので注意してください。

月給でいえば約17万円です。

もしも、今年度から仕事が変わって大幅に給料が減ったなど特別な事情があれば、前年度の所得制限を超えていたとしても、貸付をしてもらえる可能性はあります。

所得制限に引っかかりそうであれば一度、市区町村の役所へ相談することをおすすめします。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査で落ちる人の特徴

母子父子寡婦福祉資金貸付金は月数万円の収入でも審査に通る可能性が高いため、ひとり親世帯にとっては、一般的なカードローンに比べて利用しやすいです。

しかし、下記のような人は審査で落ちる恐れがあります。

  • 無職で定期的な収入がない人
  • 収入が多すぎる人
  • 健康保険料や住民税を滞納している人
  • 申請に虚偽がある人
  • 他の公的制度で貸付を受けている人

それぞれ詳しく説明します。

無職で定期的な収入がない人

母子父子寡婦福祉資金貸付金は名前のとおり「貸付金」ですので、給付金とは異なり返済義務があります。

そのため、無職であったり、定期的な収入がなければ、返済能力がないもしくは低いと判断されて審査落ちとなります。

連帯保証人を立てれば、連帯保証人の保証能力が重視されるとお伝えしましたが、申請者の返済能力が無視されるわけではありません。

申請者の返済能力が著しく低ければ、貸付してもらえません。

どうしても働けないのであれば他の公的給付制度を利用しよう

事情があって働けず、定期的な収入を得られる見通しがたたない場合には、他の公的給付制度の利用を検討しましょう。

主な公的給付制度は以下の2つです。

  • 障害年金
  • 生活保護

障害年金を受け取っていても、児童扶養手当は一部受給できる場合があるため、児童扶養手当のみを受給するよりも家計にプラスとなるでしょう。

生活保護を受給すると「資産を持てない」というデメリットはありますが、働けず、定期的な収入の獲得が難しい場合には、前向きに検討したい制度です。

受給要件などの詳細は今住んでいる地域の自治体へ問い合わせるようにしてください。

収入が多過ぎる人

母子父子寡婦福祉資金貸付金は「経済的自立」が目的です。

財源は税金で、毎年国会で予算額が定められていて、2023年度の当初予算案は14.2億円です。

 

「予算」という形で、全体における貸付金額の上限があるため、優先されるのは生活に苦しんでいる人となります。

したがって、ひとり親世帯であっても、十分な収入を得ていると、すでに経済的に自立できていると判断されて貸付の対象外となり、審査落ちになる恐れがあります。

たとえ本当に生活が苦しい場合でも、支出の内訳がショッピングやギャンブル、酒、たばこなど嗜好品が多ければ、面談時に家計の改善指導がされるのみとなるでしょう。

そのため、収入が多過ぎて審査落ちとなった場合には、銀行や消費者金融などから一般的な借入を検討する必要があります。

健康保険料や住民税を滞納している人

健康保険料や住民税を滞納している場合、すでに家計が破綻しており、母子父子寡婦福祉資金貸付金で資金を融資したとしても、経済的自立が困難と判断されて、審査に落とされる恐れがあります。

事情があって一時的に健康保険料や住民税を滞納していれば、全額でなくてもよいので、母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請をする前に返済を進めておきましょう。

先ほども説明したとおり、審査では返済する意思の強さが重視され、各世帯にそった対応をしてもらえます。

そのため、返済を進めていれば、担当者が返済の意思を汲み取り、現状も考慮して、融資を実行してもらえる可能性があります。

申請に虚偽がある人

婚姻・扶養状況や収入において虚偽の申請をしていると、審査に落とされる可能性が高いです。

虚偽内容としては、例えば下記のような内容が当てはまります。

  • 内縁の夫・妻がいて、そのパートナーの収入で生活していることを隠して申請した
  • 離婚が成立していないのに、離婚済みと申請した
  • 収入を少なく申請した
  • 他の公的制度を利用していることを隠して申請した
  • 扶養している子供の人数で虚偽申請をした

母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査では、戸籍謄本や住民票、源泉徴収票などの公的書類を確認するため、例に挙げたような内容を誤魔化して申請することはできません。

また、仮に申請時はばれなかったとしても、後日虚偽申請であることが判明した場合、貸付された分の一括返済を求められるリスクがあります。

そして、一度虚偽申請をした場合、自治体からの信用を失ってしまうため、今後他の公的制度を利用しようとした場合も不利になります。

そのため、正確な情報で申請できるようしっかりと確認しましょう。

世帯の状況に変更があれば速やかに申請しよう

母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査が通ったあと、再婚したり、子供が学校を停学・退学になったりして、申請時から世帯の状況が変わった場合には、速やかに申請する必要があります。

世帯の状況が変わると貸付金の貸付対象外となるかもしれませんが、変更を申請しなければ虚偽申請とみなされるので注意してください。

他の公的制度で貸付を受けている人

母子父子寡婦福祉資金貸付金は原則、他の公的制度ですでに貸付や助成を受けている人への貸付は行われていません。

母子父子寡婦福祉資金貸付金に限らず、公的制度は基本的に、借りたお金で他の融資に対する返済にあてることを認められていないからです。

そのため、生活保護を受けている人も同様に、生活保護で得たお金を貸付金の返済にあてることはできないため、審査に通りません。

しかし、世帯の状況や制度の内容によっては例外的に、貸付が認められる場合もありますので、まずは担当者へ相談することをおすすめします。

日本学生支援機構の奨学金とであれば併用できる可能性がある

日本学生支援機構の奨学金を利用していたとしても、受け取っている金額が、母子父子寡婦福祉資金貸付金の修学資金の限度額未満であれば、差額分の貸付を受けるという形で併用可能です。

例えば、修学資金の限度額が14万円だったとして、奨学金で毎月10万円受け取っていたとします。

奨学金のみでは生活に困窮し、勉学に支障をきたすとなれば、母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請をすることで、差額の4万円を貸し付けてもらえる可能性があります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金審査の流れと必要書類

それでは、実際に母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用する際の審査の流れと必要書類について解説します。
カードローンの審査は最短即日、長くても1週間程度ですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金は審査に1ヶ月〜2ヶ月程度かかり、すぐに融資を受けられるわけではないので注意してください。

また、必要書類もカードローンに比べて多いので、ここでしっかりと確認して準備しましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金審査の流れ

母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請は、今住んでいる地域の市役所・区役所です。

一般的に「保健福祉センター」と名前がついてるところが相談先になりますが、地域によって名前は異なるので、役所の窓口で「母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請について相談したい」と伝えれば、担当の窓口を案内してもらえて確実です。

そして、母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査は以下のような流れで進みます。

  1. 担当者と面談する
  2. 申請書を作成して提出する
  3. 審査
  4. 貸付決定の通知を受け取る
  5. 貸付がおこなわれる

1. 担当者と面談する

母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請は必ず、担当者との面談から始まります。

書類だけ作って審査、ということはありません。

この面談で、借入の目的、収入の有無、子供の年齢、連帯保証人を準備できるか、保険料や税金の滞納はないかなど、家庭状況や経済状況について共有します。

細かく内容を聞かれるため、面談だけで1時間〜2時間かかる場合もあります。

質問に協力的でないとみなされたり、虚偽の回答をすると、申請を拒否される恐れもあるので、面倒だと感じてもしっかり丁寧に回答しましょう。

なお、面談は原則「債務を負う予定の人全員」実施するので、連帯保証人も返済の意思があるかを確認する面談があり、就職支度資金や修学資金、就学支度資金などで子供が連帯借受人となる場合は子供にも面談があります。

2. 申請書を作成して提出する

面談で担当者から「貸付が必要」と判断されると、母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請書を渡されます。

必要事項を記入し、後ほど説明する添付書類とあわせて提出してください。

添付書類は多くあるので、前もって準備しておくとスムーズです。

3. 審査

申請書を提出すると審査が始まります。

審査は申請書と面談の内容に基づいておこなわれ、返済計画に無理がないか、貸付が経済的自立につながるか、という点を重点的にみられます。

審査の途中で追加の質問がくる場合もあるので、その際には速やかに回答しましょう。

結果が通知されるまで約1ヶ月〜2ヶ月です。

4. 貸付決定の通知を受け取る

審査が完了して「貸付可」となれば、貸付決定の通知が自宅に届きます。

貸付決定通知書には、今回貸付が決定した資金の種類と金額、返済期間、初回の返済日などの情報が記載されています。

電話連絡がない場合も多いので、こまめにポストを確認しておきましょう。

貸付決定通知書と同封されて、借用書と貸付金交付請求書が届くので、記入して提出します。

5. 貸付がおこなわれる

貸付が決定し、必要書類も提出すると所定の日に口座へ振り込まれます。

振込日は「審査の翌月末」であったり、「特定の月」であったりと自治体によって異なるので、詳細は担当者へ確認してください。

母子父子寡婦福祉資金貸付金審査の必要書類

母子父子寡婦福祉資金貸付金では、ひとり親世帯であること、経済的に困窮していることを示す必要があるため、一般的な民間ローンの審査に比べて提出すべき必要書類は多いです。

以下の書類を提出します。

  • 申請書
  • ひとり親世帯であることを証明する書類(戸籍謄本・遺族年金証書・児童扶養手当証書のいずれか)
  • 申請者の住民票
  • 連帯保証人の住民票
  • 申請者の所得証明書(市県民税所得証明書、源泉徴収票、確定申告の写しのいずれか)
  • マイナンバー確認書類(個人番号が記載された住民票でも可)
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・身体者障害者手帳などの顔写真付きのもの)
  • 印鑑登録証明書
  • 家計の収支がわかる書類(家計簿など)
  • 申請する貸付金の種類に応じて必要な書類(学校が発行した資料や領収書、授業料・通学費の見積書、敷金・前家賃・運送代などの引越し費用がわかる見積書など)

母子父子寡婦福祉資金貸付金では「必要最低限のお金」が借りられる金額ですので、必要金額を証明するための見積書や金額が記載された資料が審査には必須です。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の利用を考えたタイミングで、見積もり書類を整理しておくと、スムーズに申請手続きを進められるでしょう。

事前準備をしっかりしていると、面談時に担当者から高評価をもらえるのでおすすめです。

申請から融資実行まで1ヶ月〜2ヶ月かかる

母子父子寡婦福祉資金貸付金は融資実行まで申請から1ヶ月〜2ヶ月で、一般的なカードローンが即日融資、遅くても1週間程度で融資を受けられることと比べてかなり時間がかかります。

利用者数が多かったり、必要書類に不備があって再提出になったりとすれば、審査に時間がかかり、融資実行まで3ヶ月以上になる恐れもあります。

慌てなくてよいように、余裕をもって申請することが大切です。

近日中に現金が必要な場合には、即日融資も可能なカードローンの利用を検討した方がよいかもしれません。

このあたりの事情も、面談時に担当者へ忘れずに伝えるようにしてください。

母子父子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りられた場合の返済方法と返済期限

母子父子寡婦福祉資金貸付金は給付金ではないので、返済していく必要があります。

そこで最後に、母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済方法と返済期限について解説します。

返済期間は最長20年

母子父子寡婦福祉資金貸付金で借りた資金の種類によって、返済期間は異なりますが、最長は修学資金・修業資金などの20年です。

返済期間の一覧は下表のとおりです。

資金の種類 最長返済期間 据置期間
事業開始資金 7年 1年
事業継続資金 7年 6ヶ月
修学資金 20年 卒業後6ヶ月
技能習得資金 20年 知識技能習得後1年
修業資金 20年 知識技能習得後1年
就職支度資金 6年 1年
医療介護資金 5年 医療または介護終了後6ヶ月
生活資金
  • (技能習得)20年
  • (医療または介護)5年
  • (生活安定貸付)8年
  • (失業)5年
知識技能習得後、医療もしくは介護終了後、または生活安定期間の貸付もしくは失業中の貸付期間満了後6ヶ月
住宅資金
  • 6年
  • 特別7年
  • 6ヶ月
    転宅資金 3年 6ヶ月
    就学支度資金
    • 就学20年
    • 修業5年
    (小学校の場合は中学校)卒業後6ヶ月
    結婚資金 5年 6ヶ月

    なお「据置期間」とは現金の返済は猶予され、利息のみの支払いをする期間です。

    したがって、母子父子寡婦福祉資金貸付金を無利子で借りた場合、据置期間中は返済の必要がありません。

    医療が終了したり、学校を卒業して働きはじめても、最初はいろいろとお金がかかります。

    修学資金や医療介護資金は卒業・終了後6ヶ月間の据置期間が設けられているので、落ち着いた時期から返済を始められる点が大きなメリットといえるでしょう。

    返済方法は月賦以外に半年賦・年賦も選べる

    母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済には、毎月一定額を返済していく「月賦」を選ぶ人が一般的です。

    しかし、毎月の返済は難しく、ボーナス時期にあわせて返済したいという場合には「半年賦」や「年賦」も選べます。

    ボーナスが年2回あれば「半年賦」を、年1回であれば「年賦」を選ぶとよいでしょう。

    とはいえ、1年間の返済額はどの返済方法を選んでも同じです。

    滞納すると違約金がかかるので、生活スタイルにあった無理ない返済方法を慎重に考えてください。

    滞納すると年3.0%の利息が適用される

    母子父子寡婦福祉資金貸付金の返済が遅れた場合、年3%の違約金がかかります。

    例えば、元金が50万円で1年滞納した場合の違約金は15,000円です。

    実際には、連帯借受人や連帯保証人から返済されるケースがほとんどですが、貸主との信頼関係を損なうことになるので注意してください。

    事情があり、どうしても返済が遅れてしまう、返済が難しいという場合には、無断で滞納するのではなく、一度担当者へ連絡してください。

    担当者へ状況を説明すると、一緒に対応策を考えてもらえます。

    返済が遅れそうな場合は支払猶予を受けられるケースがある

    申請者本人の返済が難しく、連帯借受人による返済も難しいと判断された場合には、支払い猶予を受けられます。

    具体的には下記のようなケースです。

    • 被災した
    • 盗難にあった
    • 病気になった
    • 生活に支障をきたすケガ
    • 子供が進学した(修学資金または就学支度資金)
    • 新型コロナウイルス感染症の影響

    償還金支払猶予申請書に証拠書類を添付して、母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請をした窓口へ提出します。

    提出した書類は審査され、可決されると支払猶予を受けられます。

    支払猶予の期間は利息・違約金は発生しないので安心してください。

    まとめ

    母子父子寡婦福祉資金貸付金は申請者の経済的自立を支援する目的でおこなわれる貸付ですので、高収入の人より低収入の人の方が審査に通りやすい傾向にあります。

    そのうえで、審査で重視されるポイントは申請者の返済する意思の強さです。

    「卒業したら生活を整えてしっかり返済していこう」「家計を改善しよう」「確実に技能を習得して就職しよう」

    貸付金を利用する目的と、その後のプランまで面談時に担当者へ伝えることで、高評価を得やすいです。

    申請して審査結果が出るまで1ヶ月〜2ヶ月と日数が多くかかるので、貸付金が必要になりそうだと思ったタイミングで、担当者への相談を始めることをおすすめします。

    この記事で解説した審査のポイントなどを参考に、希望通りの借入ができるよう1つずつ準備しましょう。