消費者金融などの貸金業者ではなく、個人からお金を借りることもあるでしょう。ただ、個人間の借金だからどのような融資条件を設定しても良いわけではなく、出資法・利息制限法で利息条件について厳しいルールが定められています。
そして、特に出資法違反の利息条件を定める個人間融資には注意が必要です。なぜなら、闇金被害に巻き込まれて今よりも深刻な返済状況に追い込まれる可能性が高いからです。したがって、ネット・SNSで募集がかけられている個人間融資や闇金には絶対に関わってはいけません。
すでに闇金被害を受けている人、消費者金融などへの返済に困っている債務者は、すみやかに弁護士・司法書士へ相談することをおすすめします。法律の専門家に依頼をすれば、「闇金からの借金は無効だ」と主張して闇金との関係を断ってくれますし、債務整理などの方法で債務者に適した生活再建手法を提案してくれるでしょう。
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出資法違反の利息条件を定める個人間融資は違法・無効なので返済義務なし
基本的に、一般私人同士の間ではどのような契約を締結するのも自由です。
もっとも、特にお金の貸し借りに関する契約(金銭消費貸借契約)の場合には、「お金に困っている債務者」に対して「お金を貸すだけの経済力のある債権者」が、一方的な力関係を前提として債務者に不利な返済条件を課す危険性があります。
「今どうしてもお金が必要なので、厳しい返済条件を提示されたが受け入れるしかない」というように、窮状につけこまれた債務者が不当に不利な融資条件を強いられると、結局契約通りに返済をすることができず、生活費の工面さえ難しくなるのは明らかです。債権者側が不当に弱者から暴利を貪るのも適切だとは考えにくいでしょう。
そこで、貸金業者からの借金だけではなく、個人間のお金の貸し借りについても、利息条件について「出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)」「利息制限法」という2つの法律で厳しい制限・ルールが定められています。
ただし、出資法・利息制限法では、それぞれ規定している内容が異なるため注意が必要です。ひとまず、「利息制限法のルールに反する部分の利息は返済する必要がない、しかも、出資法に違反する条件を課された場合には債権者が刑罰に処される」と理解しておきましょう。
それでは、出資法・利息制限法で定められている規制内容・闇金リスクについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
出資法の上限金利年利率109.5%を超える個人間融資は違法
出資法で定められているのは、「年利率109.5%を超える割合の利息条件で金銭消費貸借契約を締結した場合・利息の支払いを求めた場合・利息を受領した場合には、債権者が5年以下の懲役・1,000万円以下の罰金またはその両方の刑事罰を受ける」というルールです。
つまり、出資法とは、「厳しい利息条件を迫った債権者に対するペナルティを定めている法律」ということを意味します。
(高金利の処罰)
第5条1項 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。引用元:(高金利の処罰)出資法第5条
たとえば、個人間で10万円の貸し借りが行われて出資法で定める年利率109.5%ギリギリの利息条件を設定した場合、返済期日を1年後に設定したとすると利息は109,500円発生する(元本と合わせると209,500円の返済を要する)ということになります。この金額ラインの範囲内であれば、債権者が刑事罰を科されることはありません(後述のように、民事上利息20%を超える部分は返済義務がないと取り扱われます)。
ただ、10万円を1年後に返済するというのは現実的ではないので、たとえば【10万円の借金について1ヶ月後の返済期日を設けたケース】について考えてみましょう。
出資法でギリギリ許容されているのは年利率109.5%。この利率条件を前提にすると、【10万円 × 109.5% ÷ 365日 × 30日 = 9000円】となります。つまり、「今回10万円貸すけれど、1ヶ月後に11万円返済してくれるだけで良いよ」というありがちな約束は出資法違反になるということです。
なお、「今1万円貸してくれたら1週間後に1,000円色を付けて返す(利息)から」という条件で知人同士でお金の貸し借りをしたとしても、実質的には年利率500%の融資条件が課されていることを意味するので、出資法違反と考えられます。
交友関係やプライベートな事情などを一切考慮しないと仮定すると、このような金銭の貸し借りはすべて出資法違反の違法なものだと考えられるので、お金を貸してくれた友人を警察に突き出せば刑事罰が科される可能性が高いということです(もちろん、違法性の程度が軽微であるとして立件される可能性は低いですが)。
出資法違反の年利率109.5%を超える貸し付けは契約自体が無効になる可能性もある
利息条件が出資法に違反するケースで押さえておくべきポイントは、出資法違反の金銭消費貸借契約はそれ自体が無効なものと取り扱われる可能性があるということ。具体的には、公序良俗に反する契約だとして民事上も無効だということです(民法第90条)。
(公序良俗)
第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。引用元:(公序良俗)民法第90条
公序良俗違反が認められるか否かについて具体的な判断基準は定められていません。契約に至るまでの過程、具体的な契約内容、債権者・債務者の立場などの事情が総合的に考慮された結果、無効になるかが決定されます。
仮に、公序良俗違反と判断できるようなケースであれば、そもそも契約自体が無効なので、出資法違反の利息だけではなく元本自体も返済する必要がなくなります。
たとえば、「今日借りた3万円を明日までに5万円で返済」などの違法レベルが深刻な融資条件を強要されるようなケースでは、民事上の返済義務が消滅する可能性もあるでしょう。詳しくは、弁護士・司法書士など法律の専門家までご相談ください。
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出資法違反の個人間融資は貸し手に罰則あり・借り手に罰則なし
出資法では、年利率109.5%の融資条件を定める「債権者」が刑事罰に処される旨を規定しているだけです。
その一方で、出資法違反の利息条件でお金を借りた「債務者」について刑事罰は定められていません。これは、「お金に困っている債務者が厳しい利息条件を強いられる可能性が高い」という状況において、債務者側にもペナルティを課すのは適切ではないという理由に基づくものです。
ただし、債務者側が注意をしなければいけないのは、状況次第では債務者も詐欺罪に問われるリスクがあるということ(刑法第246条)。たとえば、「出資法違反・利息制限法違反の借金は返済しくても良いのだから借り逃げをしよう」というように、最初から返済の意思なくお金を受け取った場合などでは、債権者からお金を騙し取ったと言われても文句が言える状況ではないので、債務者自身が刑事訴追を受ける可能性が高いでしょう。
以上のように、出資法違反の厳しい利息条件は「債権者に刑罰を科す」という方法によって債務者の立場を守るために定められている法律ですが、この法律を盾にして債務者が不当に利益を得ることがあれば、債務者自身も刑事上の責任を追及され得るという点に注意しなければいけません。
利息制限法の上限金利を超える個人間融資も違法・無効
個人間の借金の利息条件については、利息制限法でも詳細な上限ルールが設けられています。
具体的には、出資法では「出資法違反の利息条件が定められると債権者が処罰される」というルールが定められていたのに対して、利息制限法では「利息制限法違反の利息条件が定められたとしても、”ルール違反の利息”分の返済義務は存在しない」というように、債務者側の返済義務の内容・存否についてのルールが定められているのが特徴です。
次のように、利息制限法では、借金の借り入れ額に応じて上限金利がそれぞれ定められています(利息制限法第1条)。
- 借金元本10万円未満:年利率20%
- 借金元本10万円以上100万円未満:年利率18%
- 借金元本100万円以上:年利率15%
つまり、個人間で10万円を借りた場合には、利息制限法認められる上限金利は年利率18%まで。18%を超える利息条件が課されると、超過部分が無効と取り扱われるため返済義務はありません。
これに対して、利息制限法の上限金利規制に反する利息条件が定められたとしても、利息制限法の範囲内の利息条件は有効です。たとえば、10万円の借り入れに対して年利率20%の利息条件が課された場合、18%を超える2%部分の返済義務は存在しないが、18%部分については約束通りに返済をしなければいけないということです。
なお、出資法違反の場合と同じように、「公序良俗に反する」と評価できるような不合理な契約条件であれば、契約自体が無効なので元本自体の返済義務も消滅します。
出資法と利息制限法の規制内容のまとめ
それでは、個人間の借金について、出資法と利息制限法の規制内容を分かりやすく整理しておきましょう。
法律 | 上限金利 | 目的 |
---|---|---|
出資法 | 年利率109.5% | 債権者に刑罰を与える目的 |
利息制限法 | 年利率15%~20% | 債務者の返済義務を無効にする目的 |
出資法・利息制限法のどちらも「個人間の借金の利息条件」を対象にルールを定めるものですが、「出資法は債権者に罰則を科すこと」「利息制限法は債務者の返済義務を無効にすること」というように、規制の目的・内容がまったく異なります。
たとえば、【借入額50万円・年利率20%の条件】のケースでは、「”利息制限法違反”なので債務者には年利率18%を超える部分の利息の返済義務はなし、”出資法違反ではない”ので債権者に罰則もなし」という結果となります。
これに対して、【借入額50万円・年利率120%の条件】のケースでは、「”利息制限法違反”なので債務者には年利率18%を超える部分の利息の返済義務はなし、”出資法違反”なので債権者に罰則あり」と導かれます。
いずれにせよ、出資法違反・利息制限法違反の条件が課された場合には、利息制限法の範囲内の利息の返済義務は債務者に残されたままだということです。「法律違反だから利息を返済する必要なないだろう」ということにはならないので、借金を返済するのが難しい状況に追い込まれているのなら、弁護士・司法書士への相談が急務だと考えられます。
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出資法違反の個人間融資は闇金の可能性が高いので利用してはいけない
注意をしなければいけないのが、「個人間のお金の貸し借り」といっても、知人や親族からの融資のようなプライベートな交友関係を前提としたものから、ネットやチラシ広告などで募集がかけられている「個人間融資」まで幅広く含まれるという点です。
そして、知人などからの融資ではなく、SNSなどで募集がかけられている「個人間融資」については、闇金が関わっている可能性が高いので決して利用してはいけません。
「消費者金融を頼るのには抵抗感がある」「消費者金融などからの借り入れが目一杯になってどこからも融資を受けられない」「簡単にお金が欲しい」などの事情を抱える人々は、すべて闇金のターゲットです。ネット広告やSNSなどの足がつきにくい方法を利用して、闇金が「個人的な融資」を隠れ蓑に、数々の罠を張っているという実情があります。
たとえば、次のような取引の多くは闇金が運営している可能性が高いですし、当初の融資額を返済できないと違法取引を迫られるリスクも発生します。
闇金が誘導する取引例 | 取引の内容・リスク |
---|---|
個人間融資 | ・違法金利を強いられて完済させてもらえない ・滞納すると厳しい取り立てを受ける ・本人や家族に危害が加えられるリスクあり ・個人情報が転売されて犯罪行為に巻き込まれる |
クレジットカード現金化 | ・カードショッピング枠を利用して換金性の高い物品を購入させて現金化 ・カード会社の利用規約に反する脱法行為なので強制解約のリスクあり ・換金時に高い手数料負担を強いられる ・自己破産ができないなどの形で債務整理の選択肢が狭まる |
預貯金口座の買取 | ・債務者名義の預貯金口座を開設して闇金に売却 ・口座開設金融機関との契約違反なので凍結リスクあり ・口座開設行為自体が詐欺罪に問われる危険性もある ・振り込め詐欺などに悪用されると刑事訴追を受けるリスクあり |
携帯電話の買取 | ・債務者名義の携帯電話を闇金に売却 ・携帯会社との契約違反なので回線停止のリスクあり ・法外な通話料や通信費用が債務者に請求される ・犯罪行為に悪用されるリスクあり |
ひととき融資 | ・貸付けの対価として性交渉等を強いられる ・動画や画像をネタに金銭を要求される ・実質的な売春に当たるので債務者自身も処罰されるリスクあり |
給料ファクタリング | ・給料債権を売却して事前に現金を手にする取引 ・給料債権の売却自体が違法 ・手数料が高額で滞納時には会社に迷惑がかかるリスク |
いずれの違法取引も、法外な利息・手数料負担だけではなく、取引に手を出した債務者自身が刑事訴追を受けるなどの波及的な被害が生じるおそれがあるものです。
どれだけ金策に迫られたとしても、闇金が提供する違法取引に関係することで事態が好転することはありません。今よりも深刻な返済状況に追い込まれるだけなので、絶対に利用しないでください。
生活費に困ったときは個人間融資ではなく公的支援制度を活用しよう
生活費の工面や緊急の資金繰りに迫られた場合には、SNSなどの違法取引の利用を検討するのではなく、「安全かつ合法に生活の立て直しを目指せるサービス」を頼るべきです。
たとえば、次のような公的支援制度が幅広く提供されているので、ご自身の世帯条件・収入要件などに応じて活用しましょう。詳しくは、お住まいの自治体の窓口までお問い合わせください。
- 生活保護制度:最低限必要な生活費等に対する扶助。
- 緊急小口資金:新型コロナウイルス感染症の影響等で収入減になった人を対象に20万円まで無利息・無担保で融資。
- 母子父子寡婦福祉支援貸付:ひとり親世帯対象の低金利貸付制度。
- 生活福祉金貸付制度:総合支援金・教育支援金などの目的別貸付制度。
出資法違反の個人間融資トラブルに巻き込まれたときは弁護士・司法書士に相談を
出資法違反の融資条件を課す個人間融資を利用するなど、借金の返済や闇金被害が原因でトラブルに巻き込まれた場合には、弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。
なぜなら、闇金被害や借金問題を法律の専門家に相談すれば、次の4つのメリットが得られるからです。
- 闇金との契約は無効だと主張してくれる
- 闇金からの違法な取り立てを停止してくれる
- 闇金被害を根本的に解決できるのは弁護士・司法書士だけ
- 闇金以外の借金問題の解決も目指せる
それでは、出資法違反等の個人間融資トラブルを弁護士・司法書士に相談するメリットについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
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弁護士なら出資法違反の個人間融資の契約無効を主張してくれる
弁護士・司法書士に相談をすれば、闇金との間で締結した金銭消費貸借契約の無効を主張してくれるので、債務者は闇金への返済負担から解放されます。
そもそも、貸金業を営むためには(継続的・反復的な”仕事”として貸金業を営むためには)、内閣総理大臣もしくは都道府県知事の登録を受けなければいけません(貸金業法第3条)。違反者には10年以下の懲役・3,000万円以下の罰金もしくはその両方が科されます(貸金業法第47条)。
つまり、貸金業登録をせずに債務者から搾取をする闇金は存在自体が違法なものであるため、合法的に金銭消費貸借契約を締結することができないということ。したがって、闇金との間で締結した金銭消費貸借契約は無効だと考えられます。
そして、闇金からの借金が無効であるということは、債務者にとって次のメリットをもたらすことになります。
- 利息制限法・出資法違反の利息を返済する必要がない
- 利息制限法の範囲内の利息も返済する必要がない
- 利息だけではなく借金元本自体も返済する必要がない
- 闇金に支払ったお金は全額債務者の元に取り戻すことができる
- 闇金被害によって生じた損害・慰謝料の賠償請求をできる
出資法違反の個人融資を迫る闇金には一切お金を払う必要がない
闇金から借金をしても、利息・元本・遅延損害金など、一切の支払いをする必要はありません。なぜなら、闇金との間に締結した金銭消費貸借契約自体が無効なので、債務者には何の返済義務も課されていないからです。
もっとも、闇金自身も債務者には返済義務がないことを分かっています。そのうえで、債務者の無知・弱い立場につけこんで、脅迫めいた言動によって金銭の支払いを強いるというのが実情です。
つまり、債務者だけでは闇金に対して「契約無効だからお金は払わない」と主張するのは簡単ではないということ。弁護士・司法書士という法律のプロの介入が介入すれば、「これ以上はお金を取れない」と闇金側も把握するので、金銭の支払い請求をすることはなくなるでしょう。
出資法違反の個人融資を迫った闇金からはお金を取り戻せる
契約無効を理由として闇金からの支払いを拒絶できるだけでなく、すでに闇金に支払ったお金は全額取り戻すことができます。出資法違反・利息制限法違反の利息だけではなく、元本自体の返還を求めることも可能です。
なぜなら、違法に貸金業を営む闇金には一切の利得を受ける権利が与えられていないから(いわゆる「不法原因給付」)。元本自体を闇金側が受け取ることを認めてしまうと、闇金という違法な存在を金銭消費貸借契約という合法的な枠組みの範囲に許容することを意味しますが、これさえも許すべきではないからです(最高裁判所破棄差戻平成20年6月10日)。
ただし、闇金に対して金銭の返還請求(不当利得返還請求)を行う場合には、闇金の所在を掴んだうえで訴訟追行などの手続きを踏まなければいけません。債務者だけでは闇金に対する効果的な法的措置を遂行できないリスクがあります。
したがって、闇金に支払ったお金を取り戻す場合には、かならず弁護士・司法書士に相談をして効果的に手続きを進めてもらいましょう。
出資法違反の個人融資を迫る闇金に対して損害賠償請求できる
闇金のなかには、取り立て時に債務者・家族などに暴力をふるったり、自宅のドアや物品を壊す・勝手に持ち去るなどの行為に及ぶ場合があります。また、執拗な取り立て行為によって心神に不調を来たすこともあるでしょう。
このように、闇金被害が原因で物理的・精神的に損害を被った場合には、闇金に対する損害賠償請求を行い、被害額を回収することも可能です。
闇金被害を受けている場合には「闇金との関係を断つこと」が最優先事項ですが、弁護士・司法書士が代理人として活躍してくれる場合には、徹底的に債務者側に生じた損害の回収を目指すことも期待できます。違法な存在に屈するべきではないので、損害賠償請求の可否などについても法律の専門家までご相談ください。
弁護士の連絡により違法な取り立てを停止できる
弁護士・司法書士の介入によって、闇金からの執拗な違法取り立ては停止します。
貸金業法では取り立て行為について厳しい規制を定めているため、消費者金融などの合法の貸金業者はルール通りの督促行為を実施するのが一般的です。しかし、違法な闇金は貸金業法の取り立て規制を一切無視することによって、次のような取り立てに及ぶ可能性が高いです。
- 1日何十回にも及ぶ執拗な電話
- 自宅の固定電話・職場・子どもの学校への連絡による嫌がらせ
- 脅迫めいた言葉による取り立て
- 自宅や職場に押しかけてくる
- ピザ・寿司などの出前を勝手に注文する
- 救急車・消防車を自宅に呼ばれる
- 嫌がらせの貼り紙・近所に怪文書の投函
ただ、闇金にとっては、法律の専門家が介入すること自体が脅威です。なぜなら、警察に通報された段階で確実に検挙されることになりますし、法律の専門家からの捜査依頼であれば警察が機動的に闇金逮捕に向けて動き出す可能性が高いからです。
つまり、闇金側からすると、弁護士・司法書士の介入によって、これ以上債務者からお金を搾り取れないだけではなく、刑事事件として立件されるリスクも発生するということ。この状況において取り立てを継続しても一切メリットがないということになります。
したがって、弁護士・司法書士による電話・内容証明郵便の送付によって、闇金からの違法な取り立ては完全に停止するので、債務者の生活に平穏が戻ることが期待できます。
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弁護士以外に相談しても闇金問題は根本的に解決できない
闇金は貸金業法・出資法に反する違法な存在ですが、闇金被害を抜本的に解決するためには弁護士・司法書士に相談するのが最適です。
実は、闇金被害を受けた場合の相談先として、弁護士・司法書士以外にも次の機関が挙げられます。各機関に相談するメリット・デメリットは次の通りですが、基本的には弁護士・司法書士への相談には一切デメリットが存在しないという特徴があります。
闇金被害の相談先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
弁護士・司法書士 | ・取り立ての停止、借金問題の解決など、弁護士に出来ないことは何一つない ・証拠を揃えて警察に被害届を提出するサポートもしてくれる |
なし |
警察 | ・闇金が犯罪行為をした場合に逮捕、捜査をしてくれる ・緊急性が高ければ「110番」、緊急性が低ければ「#9110番」に連絡できる |
・証拠がなければ動いてくれない |
消費者ホットライン | ・「188番」に電話をすれば相談に乗ってくれる ・闇金被害や借金問題など幅広く対応 |
・相談にのってくれるだけで具体的な対処は期待できない |
今まさに闇金被害を受けているなら警察への相談は効果的
警察が闇金被害に対応してくれるのは、「今まさに闇金被害を受けている場合」などの差し迫ったケース・闇金の犯罪行為についての証拠が揃っているケースです。
たとえば、警察の対応が期待できるの代表的な場面は次の通りです。
犯罪 | 具体的な行為 |
---|---|
貸金業法違反 | ・無登録業者による貸付け ・自宅などへの訪問行為など |
出資法違反 | 出資法違反の金利条件を設定 |
脅迫罪・恐喝罪 | 危害を加える言葉・暴行行為等によって返済を迫る |
業務妨害罪 | 職場への取り立てや電話連絡など |
暴行罪・傷害罪・殺人未遂罪 | 暴力行為に及んで怪我をさせる |
逮捕罪・監禁罪 | 自宅の鍵を壊して部屋から出られなくする |
建造物侵入罪・不退去罪 | 自宅に押し入って帰らない |
たとえば、今まさに闇金が自宅に訪問して脅迫行為を受けているようなケースは緊急性が高いので110番通報してください。闇金を自宅から帰すことができますし、現行犯逮捕によって捜査機関に身柄を引き渡すことも可能です。
その一方で、闇金からの着信履歴や返済履歴・契約書などの証拠を揃えて立件する場合には、生活安全課などの担当部局まで相談に行きましょう。この場合、弁護士・司法書士に必要なアドバイスを受けた方が立件までの流れがスムーズだと考えられます。
ただし、証拠がない場合や犯罪行為の認定が難しい状況では警察は一切動いてくれません。また、仮に警察が闇金業者を逮捕したとしても、闇金との間の借金問題自体が解決したわけではないという点にも注意する必要があります。なぜなら、警察が対応できるのは刑事事件だけなので、借金問題という民事事件には手出しができないからです(=民事不介入の原則)。
たとえば、闇金の取り立て担当者が逮捕されたとしても、闇金組織自体と借金問題について話がまとまっていない限りは、取り立てなどの闇金被害はつづく危険性もあるということです。
したがって、闇金被害を効果的に止めるためには、弁護士・司法書士に闇金対応を依頼しつつ、法律の専門家のアドバイスを参考にしながら警察に事件の立件化を相談するのが最適な方法だと考えられます。
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闇金被害を最小限に抑えるには自主的な対応も不可欠
弁護士・司法書士や警察などに相談することで闇金被害を食い止めることは可能ですが、被害者自身でも一定の対策をとるのがポイントです。
たとえば、次のような方法を実践すれば闇金被害がこれ以上拡大するのを回避できる可能性もあるので、すみやかにご検討ください。
- 携帯電話の番号を変更する
- 闇金の番号を着信拒否する
- 引越しをして住所を変更する
- 転職により勤務先を変更する
- 闇金にバレている銀行口座を解約する
- 被害回復分配金制度で損害補填をする
闇金被害の拡大を防ぐポイントは、「連絡手段を断つ」こと。闇金は違法な存在なので合法的に被害者の行方を調査することはできないので、闇金にバレている連絡先などを変更してしまえば被害を食い止めることができるでしょう。
もっとも、番号の変更・引越しなどがすぐにできないこともあるはず。また、「なぜ被害者側が費用・手間を負担しなければいけないのか」と考えるのも当然です。
それならば、できるだけ早期に弁護士・司法書士に相談をして、闇金との関係を断つために借金問題を根本的に解決してもらうのがおすすめです。
弁護士に相談すれば個人間融資以外の借金問題の解決も目指せる
闇金被害を受けている被害者のなかには、「消費者金融などの返済が間に合わず闇金に手を出してしまった」「闇金への返済がなくなったとしても、他社への返済で首が回らない状態だ」という人も少なくないでしょう。
消費者金融や銀行などは合法的に貸金業を営んでいる金融機関なので、闇金対策のような手段で返済義務を逃れることはできません。これらの金融機関との間で締結した金銭消費貸借は有効なもの、真正面から状況改善に向けて動き出さなければいけません。
弁護士・司法書士に相談をすれば、闇金問題だけではなく、借金問題についても大幅な改善を期待できます。具体的には、「債務整理」という国が認めた合法の借金減免制度を利用して、消費者金融等への返済負担の軽減を目指すことが可能です。
次のように、債務整理には、自己破産・個人再生・任意整理の3種類の手続きが用意されています。債務者の状況に適した手続きを選択してもらいましょう。
- 自己破産:借金返済義務の免責を狙える。財産処分などのデメリットが大きい。
- 個人再生:借金元本を最大1/10まで減額できる。住宅ローン特則がポイント。
- 任意整理:借金の将来利息の返済免除。連帯保証人への迷惑回避など、柔軟に返済計画を作り直せる自由度の高さがメリット。
なお、債務者のなかには、税金や国民健康保険料などの支払いで困っているという人もいるはず。これらの支払いは債務整理では対応できないので、自治体の相談窓口まで足を運んで分割払い交渉を行いましょう。
まとめ
出資法違反の利息条件を強いる個人間融資を利用してはいけません。なぜなら、闇金と関わるリスクが高いので、今よりも厳しい生活状況に追い込まれるだけだからです。
生活費の工面や消費者金融などへの返済で困っているのなら、弁護士・司法書士に債務整理を相談するのがおすすめです。債務者の状況に適した手続きによって効果的に生活再建を目指せるだけではなく、債務者が利用できる公的支援制度についてもアドバイスが貰えるでしょう。
また、すでに個人間融資を利用して闇金被害を受けているという場合にも弁護士・司法書士への相談は有効です。闇金に契約無効を主張しつつ、厳しい取り立てなどを停止してくれるでしょう。
ポイントは、闇金被害を受ける前に借金問題を解決すること、闇金被害が拡大する前に対処法に踏み出すことです。早期の相談が生活の安定を守る鍵になるので、すみやかに法律の専門家までご相談ください。
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よくある質問
- Q. 出資法って、なんですか?
-
A.
出資法とは、貸金業者の上限金利を決めた法律です。年利率は109.5%です。これに違反すると5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金となります。
- Q. 個人間融資とは、なんですか?
-
A.
金融業者などを介さず、個人同士でお金を貸し借りすることをいいます。通常は、友達同士での貸し借りをいいいますが、最近はSNSなどでやり取りする人のことも指します。多くの場合、許可を得ていない闇金が個人を装って融資しているので、SNSで「融資します」などの表示を見ても飛びつかないようにしましょう。
- Q. SNSで見た個人間融資に手を出してしまいました。どうしたらいいですか?
-
A.
金融業者だけでなく、個人間の貸し借りも利息制限法や出資法に違反する場合は、借金を返済する必要がありません。もし借りてしまった場合は、弁護士にご相談ください。弁護士が介入すれば、問題は全て解決します。