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このように、借金が「やばい」といわれるラインはいくらからなのか、知りたいと考えている人は多いでしょう。
しかし、実際にはその人の収入やライフスタイルなどによってやばいと考えられる借金額は異なるため、明確な金額の基準はないといえます。
この記事では「借金がやばいといわれる危険ラインの判断基準」や、調査データをもとに「みんなどれくらい借金してるのか」について詳しく解説します。
自分が抱えている借金はやばい状態なのか、気になっている人はぜひ参考にしてください。
- 借金がいくら以上になるとやばいのかについて、金額による明確な基準はない
- 日本人の借金の平均額は「単身世帯で57万円(借金がある世帯のみだと384万円)」「二人以上世帯で260万円(借金がある世帯のみだと1,303万円)」
- 日本人の借金がある人の割合は「単身世帯で約15%」「二人以上世帯で約20%」
もくじ
借金はいくらからやばい?危険ラインの判断基準
借金がいくら以上になるとやばいのかについて、金額による明確な基準はありません。
同じ金額の借金を抱えていても、返済途中で収入やライフスタイルが変化し、滞納してしまう人もいれば、毎月きちんと返済を続けて完済できる人がいます。
しかし、借金がやばい状態に陥っているかどうかを判断する基準は存在しますので、次の項目から詳しくみていきましょう。
1.借金が年収の1/3を超えている
総量規制という法律により、個人が借入できる金額は年収の1/3までと定められています。
総量規制を基準に考えた場合、たとえば年収300万円の人は100万円まで、年収600万円の人は200万円までしか借りられないということです。
ただし、銀行からの借入やクレジットカードのショッピング枠など、総量規制の対象外となる借入もあるため、実際には年収の1/3を超える借金が可能な場合もあります。
とはいえ、総量規制で定められた借入額の上限は、一般的にその人が返済可能な金額の目安にもなっているので、年収の1/3を超える借金があるなら今後返済ができなくなる恐れがあるやばい状況と考えましょう。
たとえば、カードローンの他に住宅ローンを組んでいたり、子どもがたくさんいて保険料や教育費などに毎月多額のお金をかけている場合などです。
「年収の1/3」という金額は、あくまでも一つの目安と考えておきましょう。
2.借入と返済を繰り返している
収入から返済資金を捻出できなくなると、新たな借入をして返済に充てるといったように、借入と返済を繰り返している人がいます。しかし、返済資金確保のために他社から借入をする行為は、借金がやばい状況に陥る原因となる可能性が高いです。
たとえば、金融機関Aから借入をしており、毎月5万円ずつ返済しているとします。Aへの返済が苦しくなり、金融機関Bから5万円借りてAへ返済した場合について考えてみましょう。
このとき、Aに5万円を返済しても利息へ充当される部分があるため、実際に減るAの借金は5万円より少ないです。そして、Bから借りた5万円を返済する際には、利息を上乗せして返さなければならないため、実際に返済しなければならない金額は5万円より多くなります。
このように、返済資金が不足するたびに他社から借入をして、借入と返済を繰り返していると、利息がかさみ借金が雪だるま式に増えていくやばい状況に陥ってしまう可能性が高いです。
3.滞納をしてしまった経験がある
過去に借金を滞納してしまった経験がある人は、自力で借金の完済を目指さないほうがよいかもしれません。
借金は、滞納すると1日ごとに遅延損害金が発生します。
遅延損害金の金額は、以下の式で求められます。
仮に、100万円の借金を滞納した場合、滞納日数に応じた遅延損害金の金額は以下のとおりです。(遅延損害金利率は年20%とします)
滞納日数 | 遅延損害金 |
---|---|
滞納1日 | 100万×0.2÷365×1(日)=約548(円) |
滞納1週間 | 100万×0.2÷365×7(日)=約3,836(円) |
滞納1ヶ月 | 100万×0.2÷365×30(日)=約16,438(円) |
滞納1年 | 100万×0.2÷365×365(日)=20万(円) |
上表からわかるとおり、100万円の借金は1週間滞納しただけでも3,000円以上の遅延損害金が上乗せされてしまいます。滞納期間が1ヶ月を超えれば、1万円以上も返済負担が増えることになるのです。
遅延損害金の利率はほとんどの場合、通常の利息よりも高い年率20%に設定されています。そのため、通常の利息よりも早いペースで借金が増えてしまうのです。
借金の滞納は、借金が減らないだけでなく増えてしまう原因となります。もし、返済資金が用意できず滞納してしまうことがあるのなら、早めに弁護士や司法書士へ相談し債務整理など返済負担を減らす手続きを検討するとよいでしょう。
4.3社以上から借入をしている
借金の金額が同じでも、借入先が1社なのか複数社なのかによって完済の難易度は変わります。
借入先が複数社ある場合、返済日や返済方法などがバラバラで、うっかり入金を忘れて滞納してしまったり、計画的に返済資金を用意できなくなるリスクが高くなります。とくに、3社以上から借金をしている人は、支払いの管理がしづらくなる傾向にあるので注意が必要です。
また、利息制限法という法律によって金融機関が設定できる金利には上限が設けられており、その上限は借入額が増えると下がる仕組みになっています。
- 元本額が10万円未満 → 年率20%まで
- 元本額が10万円以上100万円未満 → 年率18%まで
- 元本額が100万円以上 → 年率15%まで
たとえば、1社から100万円借りている場合、適用される金利はどんなに高くても年率15%です。
一方で、A社から70万円、B社から25万円、C社から5万円借りており、3社から合計100万円の借金をしている場合、A社・B社・C社がそれぞれ設定できる金利の上限は以下のとおりです。
社名 | 借入額 | 金利の上限 |
---|---|---|
A社 | 70万円 | 年率18% |
B社 | 25万円 | 年率18% |
C社 | 5万円 | 年率20% |
つまり、複数社からの合計で100万円の借金をしている人は、支払いの管理が困難なうえに高い金利で返済をおこなわなければならず、自力での完済が困難なやばい借金を抱えているといえるのです。
5.返済額に占める利息割合が半分以上
毎月の返済額に占める利息の割合が半分以上の場合も、注意が必要です。
返済額に占める利息の割合が多いと、元金の減りが悪くなります。そうなると、何年も借金の返済を続けているにもかかわらず、元金が一向に減らないやばい状況に陥ってしまうのです。
たとえば、年率15%の金利で毎月2万円ずつ返済しており、借金残高が100万円の場合について考えてみましょう。この場合、次月に支払う利息額は以下のとおりです。
つまり、次月に支払う返済額のうち、半分以上は元金の返済に充当されず、利息の支払いに充てられることになります。
元金の返済に充てられる金額を増やし、早く借金を完済するには、毎月の返済額を増やすか金利の低いローンへ借り換えるなどの対処が必要です。
6.借入当初より借金額が増えている
最初に借入をしたときより、借金額が増えている場合も要注意です。
たとえば、急な出費で現金が必要になり、5万円の借金をしたとします。その後は借入をせずに返済し続けていれば、借金はすぐに完済できるでしょう。
しかし、カードローンやキャッシングは手間も時間もかけず利用できるため、ATMで預金を引き出すような感覚で、気軽に借金を重ねてしまうケースも珍しくありません。気づけば10万円、20万円、50万円、100万円と借入を繰り返してしまい、借金額が膨れ上がってしまうリスクがあるのです。
とくに、クレジットカードのリボ払いを利用している場合は注意が必要です。利用金額にかかわらず事前に設定した一定の金額を毎月支払う仕組みのため、気づかないうちに返済能力を超えた金額まで支払残高が増えてしまい、やばい状況に陥ってしまうケースが少なくありません。
7.闇金から借入をしている
闇金からお金を借りている人は、借金を滞納してブラックリストに載っているなど、何らかの理由で正規の貸金業者が提供しているカードローンから借入ができなくなり、闇金に手を出してしまったケースがほとんどです。
つまり「闇金から借りている=既に借金を返済できない状況になっている」というケースがほとんどなので、自分の返済能力を超える借金を抱えたやばい状態に陥っているといえます。
また、闇金の手口で、返済方法をわざと債務者に伝えず返済できないようにしておいて、返済期日を過ぎてからとても払えないような高額な利息を請求するというものがあります。
そうして、いつまでも借金を完済できないようにしておいて、高い利息だけを永遠に搾り取ろうとするのです。
このように、闇金からお金を借りてしまうと、返済を妨害されたり高額な利息を請求される恐れもあり、いくら返済しても借金が減らないやばい状況に陥ってしまう可能性が高いです。
みんなどれくらい借金してるの?調査データをもとに考察
「実際のところ、みんなどれくらい借金してるの?」
「借金してる人の割合ってどれくらいなの?」
借金はいくらからやばいのか気になっている場合、同時に上記のような疑問を抱いている人も多いでしょう。
そこで、この項目では金融広報中央委員会がおこなった「家計の金融行動に関する世論調査」の結果をもとに、借金がある日本人の割合や借金の平均額を見てみましょう。
1.借金の平均額
2022年6月24日(金)〜7月6日(水)におこなわれたこの調査では、全国で2,500の単身世帯(※1)と5,000の二人以上世帯(※2)を対象に、借入金残高を調べました。
(※1)20歳以上80歳未満で、単身で世帯を構成する者
(※2)世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上
その結果、平均して「単身世帯で57万円(借金がある世帯のみだと384万円)」「二人以上世帯で260万円(借金がある世帯のみだと1,303万円)」の借金があることがわかりました。
つまり、借金の平均額は単身世帯でも50万円以上であり、二人以上世帯になると200万円を大きく上回るということです。さらに、借金がある世帯のみの平均額を調べてみると、単身世帯でも300万円を大きく上回り、二人以上世帯では1,300万円以上という結果に。
このように、高額の借金を抱えている人は意外にも多く存在しており、借金問題は私たちにとって身近な悩みであることがわかります。
世帯主の年令別に見た場合
借金の平均額について、調査結果をさらに詳しくみていきましょう。
同調査では、借金がある世帯を対象に世帯主の年令別に借入金残高を調べています。
その結果をもとに、世帯主の年令別に借金の平均額をまとめると、以下のとおりです。
世帯主の年令 | 借金の平均額 |
---|---|
20歳代 | 188万円 |
30歳代 | 629万円 |
40歳代 | 536万円 |
50歳代 | 318万円 |
60歳代 | 259万円 |
70歳代 | 494万円 |
世帯主の年令 | 借金の平均額 |
---|---|
20歳代 | 675万円 |
30歳代 | 1,852万円 |
40歳代 | 1,575万円 |
50歳代 | 1,150万円 |
60歳代 | 895万円 |
70歳代 | 979万円 |
単身世帯・二人以上世帯ともに30歳代が最も借金の平均額が多く、単身世帯で629万円、二人以上世帯で1,852万円という結果でした。
また、すべての年代で単身世帯より二人以上世帯のほうが借金の平均額が多く、二人以上世帯は平均して単身世帯の2~3倍の借金があることがわかりました。
二人以上世帯は単身世帯と違い、結婚や出産など大きな出費が発生するライフイベントが多いです。そのため、急な出費が発生するたびに足りない分を借金で補填するなどして、借金額が増えてしまう人が多いのでしょう。
2.借金がある人の割合
同調査では、借金がある人の割合についても調べています。
その結果「単身世帯で約15%」「二人以上世帯で約20%」が借金をしていることがわかったのです。
つまり「単身世帯では6〜7人に1人」「二人以上世帯では5人に1人」が借金をしていることになり、多くの日本人が借金を抱えていることが分かります。私たちにとって、借金問題は決して珍しい悩みではないということです。
世帯主の年令別に見た場合
借金がある人の割合について、調査結果をさらに詳しくみていきましょう。
同調査の結果より、世帯主の年令別に借金がある人の割合をまとめると、以下のとおりです。
世帯主の年令 | 借金がある人の割合 |
---|---|
20歳代 | 14.9% |
30歳代 | 20.1% |
40歳代 | 19.8% |
50歳代 | 19.9% |
60歳代 | 14.6% |
70歳代 | 6.8% |
世帯主の年令 | 借金がある人の割合 |
---|---|
20歳代 | 24.0% |
30歳代 | 25.6% |
40歳代 | 26.0% |
50歳代 | 25.7% |
60歳代 | 16.3% |
70歳代 | 10.1% |
単身世帯の場合は30歳代が最も借金がある人の割合が多く20.1%、一方で、二人以上世帯の場合は40歳代が最も借金がある人の割合が多く26.0%という結果でした。
また、単身世帯・二人以上世帯ともに、30~50歳代で借金がある人の割合はほぼ同じという結果になり、借金がある人が多いのもこの年代であることがわかりました。
30~50歳代というと、働き盛りで収入も多い時期ですが、子育てや住宅の購入など大きな出費が発生する期間でもあります。そのため、この時期に借金を抱えてしまう人が多いようです。
借金がやばい状態に陥りやすい人の特徴
借金がやばい状態に陥りやすい人には、共通して以下のような特徴があります。
- 身の丈に合わない生活をしている
- ギャンブルがやめられない
- 浪費癖がある
- 収入が減少した
- 借入やクレジットカードのリボ払いに抵抗がない
- 自分の借入や収支の状況を把握できていない
- 借金を滞納している
上記の特徴に当てはまる人は、借金がやばい状態に陥りやすいため注意してください。
次の項目から、各特徴について詳しくみていきましょう。
1.身の丈に合わない生活をしている人
借金がやばい状態に陥る人が必ずしも収入が低いとは限りません。
収入がそれほど多くなくても、毎月きちんと収入・支出を計算し、支出が収入を上回らないように生活している人はたくさんいます。
大切なのは身の丈に合った生活をすることです。
平均以上の収入を得ている人だったとしても、以下のような支出が収入を上回るお金の使い方をしていては、借金がやばい状態に陥ってしまいます。
- 経営者だがキャバクラ通いで収入以上のお金を使っている
- ホステスで月100万円以上稼いでいるが、収入以上の金額を整形費用につぎ込んでいる
- 会社員だが満員電車が嫌で、都内一等地にある家賃20万円以上の賃貸マンションに住んでいる
もし、自分の意思では身の丈に合わない生活をやめられない場合は、依存症にかかっている可能性もあります。
その場合は、借金問題の解決と併せて専門機関で治療を受けることも検討したほうがよいかもしれません。
2.ギャンブルがやめられない人
- パチンコ
- パチスロ
- 競馬
- 競輪
- 競艇
- オンラインカジノ
- オートレース
- 麻雀
これらのギャンブルは、お小遣いの範囲内で楽しむ分にはまったく問題ありません。しかし、自分の意志で制御できなくなっているなら依存症になっている可能性があり、生活費を使い込み借金をしてもなお、ギャンブルがやめられなくなっている恐れもあります。
この場合、早めに対処しないと自力で返済できないほど借金が膨れ上がり、借金がやばい状態に陥ってしまう恐れがあるでしょう。
ギャンブルがやめられず借金がやばい状態に陥っている場合、借金がなくなってもまた同じことを繰り返すケースが多いです。そのため、借金問題については弁護士・司法書士などの専門家に相談しつつ、依存症治療の専門機関へ相談するとよいでしょう。
3.浪費癖がある人
「新発売や流行り物が大好きでつい買ってしまう」
「手持ちのお金はないけどカード払いですぐ高額な買い物をする」
上記のような、いわゆる浪費癖のある人も借金がやばい状態に陥りやすい傾向にあります。
このような人は、クレジットカードのショッピング枠の残高が借金であることに気づいておらず、知らない間に借金が膨れ上がってしまうのです。
ストレスを買い物や風俗、キャバクラなどにお金をつぎ込むことで発散させている人も危険です。
浪費することで一時的に欲求が満たされるものの、根本的な原因となっているストレスなどが改善されない限り浪費を繰り返してしまうため、手持ちのお金がなくなっても浪費がやめられない恐れがあります。
そして、ギャンブル依存症と同様、生活費を使い込み借金にまで手を出してしまう可能性が高いのです。
4.収入が減少した人
- リストラや派遣切りにあった
- 体調を崩し働けなくなった
- 結婚・出産を期に仕事を退職した
このような生活環境の変化が起こると、収入が減少するために生活費が不足し、借金をせざるを得ない状況に追い込まれてしまう人が少なくありません。
環境の変化が一時的なものであれば、すぐに収入が元に戻り借金を完済できるでしょう。しかし、生活費の不足した状態が長い間続いてしまうと、生活費と借金の返済資金を確保するために、新たな借金を重ねてしまう可能性が高いです。
とくに、近年では不況や新型コロナウイルスの影響により、収入が減ったり失業するケースが非常に多いです。既に借金があった人の中には、不況や新型コロナウイルスの影響で返済が厳しくなったり、借金額が増えて借金がやばい状態に陥ってしまう人も少なくありません。
5.借入やクレジットカードのリボ払いに抵抗がない人
借入やクレジットカードのリボ払いに抵抗がない人も、借金がやばい状態に陥りやすいといえます。
とくに、若いうちから借入やクレジットカードのリボ払いを利用してしまうと、金利のことを十分に理解していなかったり、借金をすることへの危機感が薄いことが多いです。
また、過去に自己破産をして借金を帳消しにしたことがある人の中には、借金をしてもまた自己破産すればいいと考えて借金することへのハードルが低くなる人もいます。
このような人たちは、借金をきちんと返済していないことも多く、長い間滞納しているやばい状態になっているケースも珍しくありません。
6.自分の借入や収支の状況を把握できていない人
自分の借入や収支の状況を把握できていない人も、要注意です。
自分が毎月いくらお金を使っていて、借金がいくらあるのか把握していないと、気づかないうちに多重債務の状態に陥ってしまうリスクがあります。
最初は5万円、10万円といった少額を1つの金融機関から借入していたとしても、その借金が返済できなくなり、別の金融機関から借金をして多重債務に陥るケースは多いです。すると、借入と返済を繰り返すことによって利息の分だけ借金が増えていき、借入件数も増えて借金が膨れ上がっていきます。
また、多重債務の状態になると「自分が現在どの金融機関からいくら借金をしているのか」を把握することがますます難しくなります。そうなると、返済計画も立てづらくなるので、さらに借金がやばい状態に陥っていくのです。
7.借金を滞納している人
借金を滞納していると、滞納1日ごとに遅延損害金と呼ばれる損害賠償金を請求されます。
遅延損害金の利率は、一般的に通常の利息より高く設定されているので、滞納せず借金をしている場合より早いスピードで借金額が増え、借金がやばい状態に陥る恐れがあるでしょう。
そもそも、借金を滞納している時点で自力では返済できなくなっており、自分の返済能力を超えた借金を抱えていると考えられます。
自分の返済能力を超える借金は、完済の目処を立てることが難しく、いくら返済しても借金が減らないやばい状態に陥っている可能性が高いです。
なぜやばいの?多額の借金を抱えるリスク
ここまで、やばい借金の判断基準や借金がやばい状態に陥りやすい人の特徴について、解説してきました。
ところで、多額の借金を抱えている状態はなぜ「やばい」のでしょうか?
その理由は、主に以下の2つと考えられます。
- 利息の負担が重くなる
- 返済不能に陥るリスクが高まる
次の項目から、それぞれの理由について詳しく解説します。
利息の負担が重くなる
一般的に、借金の利息は「元金の金額に対して年◯%」という形で計算されます。
そのため、多額の借金を抱えている場合、たとえ低金利で借入をしていたとしても支払う利息総額は高額になります。
また、多額の借金を抱えていると、完済するまでに長い期間を要するケースがほとんどです。
返済期間が長ければ長いほど、それだけ長い間利息を支払わなければならなくなり、利息の負担が重くなると予想されます。
返済不能に陥るリスクが高まる
多額の借金を抱えている状態は、すでに債務者本人の返済能力を超えている可能性が高いです。
そのため、放置すると高い確率で返済不能に陥ってしまうでしょう。
返済不能の状態は、金融機関から督促を受けたり、財産を差し押さえられる恐れもあり危険です。
多額の借金を抱えてしまったら、早めに弁護士や司法書士へ相談し、借金問題の解決方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。
返済不能となった場合に起こり得るリスク
返済不能になると、具体的にどのようなことが起きるのでしょうか?
返済不能になった場合の一般的な流れを紹介すると、以下のとおりです。
滞納期間の目安 | 生じるペナルティ |
---|---|
返済日の翌日~完済まで | 高額な遅延損害金が請求される |
3日~1ヶ月 | 厳しい督促がおこなわれる |
2ヶ月~3ヶ月 | 信用情報にキズがつく |
2ヶ月~3ヶ月 | 残債を一括請求される |
3ヶ月~半年以降 | 裁判を起こされ、給料・財産が差し押さえられる |
次の項目から、上表で紹介したリスクを時系列に沿って詳しく解説します。
1.高額な遅延損害金が請求される
返済が遅れると、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。滞納分を返済する際には、通常の利息とは別に遅延損害金を支払わなければなりません。
遅延損害金の金額は、以下の式で求められます。
仮に、50万円の借金を30日間滞納した場合、遅延損害金がいくらになるのか計算すると、以下のとおりです。(遅延損害金利率は20%とします)
上記の式からわかるとおり、遅延損害金の金額は滞納期間が長くなるほど大きくなります。しかも、遅延損害金の利率は通常の利息より高く設定されている場合がほとんどなので、早いスピードで借金が増えていくことが予想できるでしょう。
2.厳しい督促がおこなわれる
返済期日から数日が経過すると、金融機関から電話やメールで連絡が来ます。連絡が来るのは通常、本人の携帯電話のみで、その内容は滞納状況の共有や返済可能日の確認など、事務的な連絡である場合がほとんどです。
金融機関からの電話やメールを無視してしまうと、次に郵便で督促状が送られてきます。督促状は、最初「入金をお忘れではありませんか?」と優しく返済を促す内容から始まり、2通目、3通目と回数が増えるごとに文面が厳しくなっていくことが一般的です。
督促状も無視し続けていると、今度は自宅の固定電話や実家、勤務先にも督促の連絡が来る可能性があります。債務者以外が電話口に出た際、金融機関が社名や借金について口にすることはありませんが、何度も身元や要件が曖昧な電話がかかって来たら、家族や同僚に怪しまれる恐れはあるでしょう。
電話やメール、郵便での督促をすべて無視し続けると、金融機関の担当者が自宅を訪問することもあります。担当者が訪問した際、同居している家族が対応した場合は、家族に借金の事実を知られてしまう恐れがあるため注意が必要です。
3.信用情報にキズがつく
滞納期間が2ヶ月を超えると、滞納の事実が信用情報に事故情報として登録されます。いわゆる「信用情報にキズがついた状態」です。
信用情報に事故情報が登録されてしまうと、以下のようにさまざまな影響が生じます。
- 新規借入やキャッシングの利用、ローンを組むことができなくなる
- クレジットカードの新規発行やすでにあるカードの使用ができなくなる
- スマホや携帯電話の分割払いができなくなる
- 奨学金などの保証人になれなくなる
- 賃貸物件の審査に通らない場合がある
事故情報は一生残るわけではなく、債務整理や借金を完済すると一定期間が経過した後に削除されることが一般的です。
ただし、借金を返済できないまま放置してしまうと、いつまでも滞納が解消されず事故情報が残ってしまうので注意してください。
4.残債を一括請求される
滞納期間が2〜3ヶ月に及ぶと、金融機関から内容証明郵便で一括請求の通知が届くこともあります。
なお、一括請求されるのは滞納している分の元金や利息、遅延損害金だけでなく、借金残高の全額であることが一般的です。
これは、一括請求の通知が届く時点で、債務者が期限の利益を喪失していることが原因です。
期限の利益とは債務者が持つ借金を分割で返済する権利のことで、期限の利益を喪失すると、金融機関は債務者に対して借金全額を一括請求できるようになります。
そして、借入時に記入する契約書には、期限の利益を喪失する条件として「分割払いの返済が遅れてしまったとき」などの内容が定められている場合がほとんどなのです。
5.裁判を起こされ給料・財産が差し押さえられる
一括請求の通知も無視すると、金融機関から裁判を起こされ裁判所から通知が届くこともあります。
裁判所から届く通知は、主に「支払督促」と「訴状」の2種類で、どちらも放置してしまうと金融機関に有利な形で判決が下り、金融機関は債務者の財産を差し押さえる権利を得ます。
金融機関が差し押さえる財産には、主に以下のようなものがあります。
- 給料
- 銀行口座
- 生命保険の解約返戻金
- 不動産(自宅を含む)
- 車
優先的に差し押さえられるのは、給料と銀行口座内の預貯金です。とくに給料は、一度差し押さえると手取り額の1/4※を毎月回収できるため、多くの金融機関が最優先で差し押さえようとします。
※手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超えた金額すべてが差押えの対象
もし、給料の差押えを受けてしまったら、勤務先にも裁判所から通知が届き、勤務先に借金の事実を知られるだけでなく迷惑をかけることにもなってしまうでしょう。
やばい借金から抜け出すための対処法
実際に借金がやばい状態に陥ってしまった場合、その状況から抜け出すにはどうすればよいのでしょうか?
具体的な対処法は、以下のとおりです。
- 家計の見直しや副業で返済に回せるお金を増やす
- 借り換えやおまとめローンを利用する
- 債務整理をする
次の項目から、それぞれの対処法について詳しく解説します。
1.家計の見直しや副業で返済に回せるお金を増やす
最も簡単にできる方法は、節約したり収入を増やすことで返済に回せるお金を増やすことです。
返済に回せるお金を増やす方法には、主に以下のようなものがあります。
- 毎月の出費を見直す
- 副業をして収入を増やす
- 不要品を売却する
携帯料金や家賃、保険料などの固定費を見直せば、生活レベルを落とさずに毎月の返済額を増額できる可能性があります。
また、副業をして収入を増やすのもおすすめです。本業が平日勤務の場合は週末のみのアルバイトをしたり、在宅でできるデータ入力や内職の副業なら、空いた時間を有効活用してお金を稼げます。
最近では、フリマアプリで誰でも簡単に商品を売買できるようになりました。商品によってはリサイクルショップよりも高値で売却できることも多いので、フリマアプリを活用して不用品をお金に換えるのも有効な手段です。
返済に回せるお金が増えたら金利の高い借金から優先的に繰り上げ返済する
前述した方法で返済に回せるお金を増やせたら、金利の高い借金から優先的に繰り上げ返済することをおすすめします。
借金は返済期間が長くなればなるほど、支払う利息総額と総返済額が高額になります。そのため、少しでも余裕があるときは積極的に繰り上げ返済をして借金をできるだけ早く減らしましょう。
繰り上げ返済した分は全額が元金に充当されるため、より早いスピードで元金を減らし支払う利息総額を抑える効果があります。
なお、繰り上げ返済をする際は、金利の高い借金から優先的に返済することも重要です。
金利が高いということは、同じ金額を借りていても支払う利息額が高額になるということです。金利の高い借金はできるだけ早く完済し、金利の低い借金のみにすることで、支払う利息総額を抑えられるだけでなく、借入先が減って支払いの管理もしやすくなるでしょう。
2.借り換えやおまとめローンを利用する
金利の低いローンへの借り換えや、おまとめローンの利用により、借金を効率よく返済できるようになる可能性もあります。
たとえば、借金200万円を年率15%で返済している場合、年率5%の商品に借り換えて返済した場合と比べて支払う利息総額には以下のような違いが生じます。
返済期間 | 利息総額(年率15%の場合) | 利息総額(年率5%の場合) |
---|---|---|
2年 | 327,352円 | 105,808円 |
3年 | 495,880円 | 157,876円 |
4年 | 671,728円 | 210,784円 |
5年 | 854,740円 | 264,520円 |
6年 | 1,044,880円 | 319,048円 |
10年 | 1,871,920円 | 545,560円 |
上表からわかるとおり、金利が下がることで借金の返済負担は大幅に軽減することが可能です。
複数社から借入をしている場合は、おまとめローンで借金を一本化することにより、返済日や返済方法が統一され、支払いの管理がしやすくなります。また、借金をまとめて元金が大きくなることにより、適用される金利が下げられる効果も期待できます。
ただし、金利の低いローンへ借り換えたりおまとめローンを利用しても、月々の返済額によっては返済期間が長期化し、結果的に多額の利息を支払うことになるケースもあります。申込む前に詳細な返済シミュレーションをおこない、慎重に検討するようにしてください。
3.債務整理をする
前述した方法を利用してもやばい借金から抜け出すことが難しい場合、債務整理をして借金の負担を軽減するのも有効な方法です。
債務整理とは、借金の利息や元金を減額したり、借金をゼロにできる手続きのことです。国が認めた制度であり、利用することで合法的に借金を減額できます。
なお、債務整理には主に以下3つの種類があります。
債務整理の種類 | 概要 |
---|---|
任意整理 | 将来利息をカットや減額し、月々の返済額を約1/2、人によっては1/3以下に減額できる手続き。 |
自己破産 | どんなに高額な借金もゼロになる手続き。代わりに20万円以上価値のある財産を手放す必要がある。 |
個人再生 | 借金を約1/5、人によっては1/10に減額できる手続き。自己破産と違い、財産や住宅ローンのある家も手元に残せる。 |
どの方法を選択するかによって、借金の減額率やメリット・デメリットが異なるので、自分に最適な方法が知りたい場合は、弁護士や司法書士に直接相談するとよいでしょう。
まとめ
借金がいくらからやばいのかについて、明確な金額の基準はありません。
ただし「借金が年収の1/3を超えている」「借入と返済を繰り返している」「借入当初より借金額が増えている」などの条件に当てはまる場合は、やばい状態に陥っている可能性が高いです。
やばい借金から抜け出すためには、まずは家計の見直しや副業で返済に回せるお金を増やせないか検討してみましょう。借り換えやおまとめローンを利用して、金利を下げるのも有効な手段です。
どうしても借金が減らず返済を続けるのが難しい場合は、債務整理も視野に入れるとよいでしょう。当サイトでは、弁護士や司法書士の無料相談を紹介しているので、今の借入や返済の状況を伝えて適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
やばい借金についてよくある質問
- Q. 借金が100万円になるとやばいって本当?
-
A.
借金100万円がやばいかどうかは、その人の収入や借入の状況によります。
詳しい判断基準が知りたい場合は、以下の記事を参考にするとよいでしょう。
参照:STEP債務整理「借金100万円はやばい?大したことない?見極めのポイントについて」
- Q. 借金が200万円になるとやばいって本当?
-
A.
借金100万円がやばいかどうかは、その人の収入や借入の状況によります。
詳しい判断基準が知りたい場合は、以下の記事を参考にするとよいでしょう。
参照:STEP債務整理「借金200万円はやばい?何年で返せる?自力返済可能かの判断基準について」
- Q. 借金が500万円になるとやばいって本当?
-
A.
借金100万円がやばいかどうかは、その人の収入や借入の状況によります。
詳しい判断基準が知りたい場合は、以下の記事を参考にするとよいでしょう。
参照:STEP債務整理「借金500万円はやばい?返済にかかる年数と自力返済のためにできること」
- Q. 楽天カードのリボ払いを利用しているとやばいって本当?
-
A.
楽天カードのリボ払いがやばいといわれているのは「いつのまにかリボ払いになっている場合がある」「リボ払いを辞めたいと思っても辞められないこと」が理由と考えられます。
ただし、楽天カードに限らずリボ払いは始めるとなかなかやめられず、手数料が高く、気づいたら借金が膨らんでいる場合が多いためやばいといわれているのです。
楽天カードのリボ払いがやばいといわれる理由について、さらに詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にするとよいでしょう。
参照:STEP債務整理「楽天カードのリボ払いはやばい?手数料はどれくらい高いのか?」
- Q. 借金がやばいといわれる危険ラインの判断基準は?
-
A.
借金がいくら以上になるとやばいのかについて、金額による明確な基準はありません。
しかし、借金がやばい状態に陥っているかどうかを判断する基準は存在します。
具体的には、以下のとおりです。
1.借金が年収の1/3を超えている
2.借入と返済を繰り返している
3.滞納をしてしまった経験がある
4.3社以上から借入をしている
5.返済額に占める利息割合が半分以上
6.借入当初より借金額が増えている
7.闇金から借入をしている