年収と同じ借金は破産寸前?どれだけ危険なのか解説

年収と同じ借金がある場合、返済は可能なのでしょうか?答えは、危険な状態にあるといえます。

特に年収が低い方は非常に危険です。そもそも現在は総量規制という法律で年収の3分の1以上の借金ができません。

これは1社の借り入れだけに適用されるのではなく、複数社から借り入れていたとしても、借金可能金額は年収の3分の1までです。

なので、年収と同じ借金があるのは非常に無理がある状態と言えます。

なお、銀行から借りる住宅ローンや自動車ローンなどは総量規制適用外です。

総量規制は、あくまでも審査がゆるい消費者金融等の借金に適用されます。

年収と同じ借金はたいへん危険な状態にあるので、国が認めた合法的な債務整理をすることをお勧めいたします。

債務整理をすれば借金は確実に減ります。

特に低収入の方は債務整理をしないとほぼ返済不可能です。収入がある程度ある人でも債務整理の一つである任意整理などをした方がいいでしょう。

債務整理するべきか否かは経験豊かな弁護士にご相談ください。

今回は、年収と同じ借金は可能かどうか、また借金を減らす方法について、詳細に解説していきます

年収と同じ借金はたいへん危険な状態

年収と同じ借金はたいへん危険な状態と言えます

なぜなら国が総量規制という法律で年収の3分の1以上の借り入れを禁止しているからです

通常、3分の1以上の借り入れがあると返済不能となる確率が高まります。

それにもかかわらず、それを超える年収と同額の借金がある状態は大きなリスクがあると認識した方がいいでしょう。

通常、年収の1/3を超える借金は総量規制によってできない

そもそも現在は総量規制という法律によって年収の3分の1以上の借金ができません

これは1社だけでなく複数社の合算での数字です。ですので、現在は年収と同じ借金をすることは非常に難しくなっています

ただし、いわゆる消費者金融からの借り入れではなく、銀行や信用金庫からの借り入れ(主に住宅ローンや自動車ローン)は総量規制適用外となっています。

総量規制とは?

総量規制は、多重債務者問題を解決する為に作られた貸金業法の一つで、平成22年6月18日に施行されました

「貸金業者が提供しているカードローンから年収の3分の1を超える借金はできない」と定めたのが総量規制です

ここでいう貸金業者が提供しているカードローンとは主に消費者金融のことです。銀行や信用金庫などの借金(住宅ローン・自動車ローンなど)は総量規制に該当しません。

つまり、厳しい審査なしで借りられるのは年収の3分の1までということです

例えば、年収300万円なら100万円までしか借りられないということになります。

総量規制に関しては金融庁のHPをご覧ください
参考:貸金業法Q&A:金融庁

年収の3分の1以上借金をすると返済不能になる可能性が高い

年収の3分の1以上借金をすると返済不能になる可能性が高くなります

年収から税金や住宅費や光熱費や食費などを引けば、返済できる額はおのずと決まってきます

また、お金を借りると必ず利息がつくので利息分も支払わないといけません。この利息は借金総額が増えるほどほど総額が増えるので、これが債務者を苦しめます。

場合によっては、元本を返済できず、利息分を返すのがやっとという状態になってしまいます

このように年収と同額の借金はほぼ返済不可能なのです

返済不能になる前に債務整理などを検討しよう

もし年収と同じ額の借金があるとしたら早急に対処しなければなりません

現時点で支払いを続けることが困難だと思っている場合は、債務整理を検討することをおすすめします

債務整理は国が認めた借金を減らす制度です。

もし債務整理をする意思が少しでもある場合は、まずは弁護士や司法書士にご相談ください。

債務整理をしたら、どのくらい借金が減るのか、どのくらいで完済できるのかがある程度予測できます。

なお、債務整理に関する詳しい情報は後程ご説明しますので、下記をご覧ください。

実際にどのぐらいの返済期間がかかるのか?

年収と同じ借金がある場合、返済期間はどのくらいになるかシミュレーションしてみましょうなお、年利12%で計算します

結果を見れば、年収と同額の借金がいかに多いかがリアルに分かります。

借金240万円の場合

借金が240万円で、年収が240万円の方の場合で考えてみましょう

毎月の必要返済額 42,368 円 46,921円 53,388円 63,202円
返済回数 84回(7年) 72回(6年) 60回(5年) 48回(4年)
総返済額 3,559,335 円 3,378,806円 3,203,721円 3,034,166円

上記のように、仮に4万2,000円程度を毎月の返済に充てても、完済までは7年かかる計算となります

なお、年収240万円の場合、50万円ぐらい税金と社会保険料が引かれ、手取りで換算すると月に16万円になります。その中で4万円の支払いをしていくことはかなり厳しい状況と言わざるを得ません。

完済までの期間を短くしようとしても、月収の中からこれ以上の金額を返済に充てることは現実的ではなく、年収と同じ金額の借金の返済がいかに難しいかおわかりいただけるはずです。

借金300万円の場合

借金が300万円で、年収が300万円の方の場合で考えてみましょう

毎月の必要返済額 52,959円 66,734 円 79,003 円 99,644 円
返済回数 84回(7年) 60回(5年) 48回(4年) 36回(3年)
総返済額 4,449,148 円 4,004,636 円 3,792,696 円 3,587,757 円

上記のように、仮に6万7,000円程度を毎月の返済に充てても、完済までは5年かかる計算となります

なお、年収300万円の場合、60万円ぐらい税金と社会保険料が引かれ、手取りで換算すると月に20万円になります。その中で7万円弱の支払いをしていくことはかなり厳しいといえます。

平均的な月の生活費は16万円と言われているので、生活費を極端に節約して月の返済を5万~7万円にしても、完済までに5年から7年かかる計算になります。

借金400万円の場合

借金が400万円で、年収が400万円の方の場合で考えてみましょう

毎月の必要返済額 78,200 円 88,977 円 105,335 円 132,857 円
返済回数 72回(6年) 60回(5年) 48回(4年) 36回(3年)
総返済額 5,630,400 円 5,338,620 円 5,056,080 円 4,782,852 円

上記のように、仮に10万5,000円程度を毎月の返済に充てても、完済までは4年かかる計算となります

なお、年収400万円の場合、90万円ぐらい税金と社会保険料が引かれ、手取りで換算すると月に26万円になります。年収400万円になるとだいぶ余裕がでてきます。

平均的な月の生活費は16万円と言われているので、月に10万円ぐらいは返済できるようになります。月の返済を10万円にしたら、完済までに4年ですみます。

年収が低い人ほど、年収と同じ借金が危険

上記で見てきたように、年収が低い人ほど年収と同額の借金が危険と分かります

逆に年収が高ければ年収と同額の借金があっても、なんとか返済できるのです。

この結論から分かることは、年収の低い人は債務整理を検討すべきだということです

特に借金がゼロになる自己破産をするといいでしょう。一方、年収の高い人は自力で返済するか、債務整理を選択するにしても任意整理を選択するといいでしょう。

年収と同じ借金を抱えてしまい、返済が苦しい時にすべきこと

返済が苦しい時にすべきことは、主に3つあります

1つ目は、副業などをして収入を増やす

2つ目は、おまとめローンを活用し金利を減らす

3つ目は、債務整理を行うです

これらをすれば返済が楽になり借金地獄から解放されます。ここからは以上のことを詳しく解説していきます。

1.収入を増やして返済速度を上げる

一番手っ取り早い方法は収入自体を増やすことです

そもそも返済が厳しいのは収入自体が少ないからです

収入自体を増やせば可処分所得が増えるので返済自体が楽になります

また、収入が増えれば毎月の返済金を増やせるので完済までの時間を短縮することができます

借金を完済するまでは大変ですが収入を増やして返済速度を上げましょう。

借金を副業や副収入で返済する

収入を増やすには本業以外に副業などをしましょう

あくまでも借金を完済するまででいいので副業などをして収入を増やしましょう

お金がないからと言って新たに借金をするのはNGです。まずは地道に働いて収入UPを目指しましょう。

2.おまとめローンで金利を減らす

複数社から借金をしている場合は借入先を1社にまとめると金利を減らすことができます。これをおまとめローンと言い、複数の借金を一元化できます。

メリットはまとめることによる金利の低減です

これをするだけで返済しなければならない利息分が大幅に減るので、ぜひチャレンジしてみてください。

借金は一元化すると返済額が減る

1社だけでなく複数社からお金を借りているときはおまとめローンで一元化すると金利を減らすことができます

おまとめローンは総量規制対象外のため、年収と同じ借金にも適用できます

問題は年収と同じ額の借金を金融業者が貸してくれるかです

当たり前ですが、年収と同じ借金は返済不能となる確率が高く、なかなか金融業者が貸してくれません。

どうしても無理な場合は以下で説明する債務整理を検討しましょう

3.債務整理を行う

どうしても借金が返済できないなら、借金自体を減らすしかありません

その場合は、債務整理を行いましょう。債務整理とは合法的に借金を減らすことができる制度です。

ここでは、債務整理の種類と特長について説明します。

債務整理の3つの種類とその効果

債務整理は3種類(任意整理・個人再生・自己破産)あります

どれが良いというのはなく、個人の資産状況や収入によってベストな債務整理は変わります。

どの債務整理が適しているかは債務整理に詳しい弁護士にご相談ください

任意整理

任意整理は利息や遅延損害金などを減らせる制度です

残債自体は返済しないといけませんが、大きな利息分がなくなるのでどんどん借金は減っていきます

裁判所を通さず、債務者と債権者の話し合いで決まるので比較的楽に手続きすることができます。

また、デメリットもあまりありません。ただし、信用情報にはキズがついてしまいます。

自己破産

自己破産は裁判所を通し、全ての借金をゼロにできる非常に魅力的な制度です。ただし、デメリットも多々あるので注意が必要です。

お勧めできるのは、自宅などを持っておらず資産もほとんどないような方です

このような方は自己破産してもあまりデメリットがありません。

一方で、自宅や車、資産があるような方は全て手放さないといけないため、あまりお勧めできません。

個人再生

個人再生は借金を5分の1から10分の1程度減らせる制度です

自己破産と同様に裁判所を通じて手続きをしますが、債務整理の中で一番手続きが複雑で時間もかかります

ただし、自己破産と異なり、家などを残せる可能性があります。

どうしても守りたい資産がある場合は個人再生が適しています。

債務整理にデメリットは伴うのか?

債務整理はどれもデメリットがあります

デメリットが多い順に並べると自己破産・個人再生・任意整理となります

自己破産は預金や給与にも影響を及ぼし、家などの資産なども全部没収されてしまいます。

個人再生も自己破産とほぼ同じですが、家などを残せる可能性があります。ほとんどデメリットがないのが任意整理です。

ただし、どの債務整理も信用情報にキズがついてしまいます

信用情報は返済の遅延や滞納を記録しており、債務整理した事実も記録されます

信用情報が傷つくと借金が新たにできなくなったり、ローンが組めなくなったりします。また、クレジットカードも使えなくなります。

債務整理をするとこのようなデメリットがありますが、2か月以上滞納している場合は、もうすでに信用情報が傷ついているので、債務整理をしてもしなくても一緒です

滞納期間が2か月を超えている場合は、すぐに債務整理を検討しましょう

なお、債務整理をするべきか否かをお考えの方は、債務整理に強い弁護士にご相談ください。

年収と同じ借金で苦しくてもやってはいけないこと

年収と同じ借金があると、なんとかしようと余計なことをやってしまいがちです

もちろん、やったほうがいいこともありますが、やってはいけないこともあります

ここでは借金返済で苦しんでいてもやってはいけないNG例を紹介していきます。

闇金などの非合法の金融機関から借金をする

一番やってはいけないことは「借金を借金で返す」ことです

どうしても返済しようと新たに借金することはよくあるパターンですが、絶対にしてはいけません

そもそも収入と同じ借金は現在できないので、どうしても非合法な闇金などに頼ってしまいがちです。

闇金に手を出すと後々が大変なので絶対に借りてはいけません。

返済を放置する

もう借金の返済は無理と思って、返済を放置する(滞納する)のも絶対してはいけません

借金を放置しても良いことは何一つありません。

たとえ返済が厳しくても放置・滞納だけは止めましょう

遅延損害金が加算される

借金を無視して返済を放置すると遅延損害金が加算されます

遅延損害金は利息とは別に徴収されるので返済額が大幅に上がります

残債を一括請求される

借金を放置すると残債を一括請求されてしまいます

今までは分割で支払えていたのに、分割払いができなくなり、残りの借金を今すぐ返済しろということになります

分割でさえ返済できないのに、このような状態になったらジエンドです。

連帯保証人がいる場合は、そちらに請求されてしまう

借金をするときに連帯保証人がいたら、残債の全額をそちらに請求されてしまいます

ここまで来ると自分の問題ではなく、他人に迷惑をかけてしまいますので気をつけましょう

最終的に差し押さえになってしまう

借金を放置し続けると最終的には差し押さえ(強制執行)になってしまいます

差し押さえになると預金や収入まで影響を及ぼすので、差し押さえになる前に対策を講じましょう

自宅などの資産がある場合は要注意

差し押さえになると預金や給与などの金融資産だけでなく、自宅などの資産にも影響を及ぼしてしまいます

自宅やマイカーなども没収されてしまうので、不動産や動産などの換金性の高い資産がお持ちの方は十分に注意してください

まとめ

年収の3分の1以上借金をすると返済不能になる可能性が高いので、総量規制という法律が現在、施行されています

基本的に複数社から借り入れをしても年収の3分の1以上の借金はできません(銀行から借りる住宅ローンや自動車ローンを除く)

このような現状で年収と借金が同じというのは非常に危険なのです

特に年収の低い人はほぼ返済不可能です。

年収が400万円を超えたあたりから、年収と同じ借金をしていても返済可能といったところです。

年収が低い人は返済を無視したり、放置したりせず、すぐに債務整理(特に自己破産)をしましょう

一方で、年収が日本人の平均ぐらい(年収400万円から500万円)ある人は、自力で返済するか、債務整理の一つである任意整理(利息と遅延損害金が免除される)を選択しましょう

どうような返済プランが最適なのか、債務整理をするべきか否かは業務経験が豊富な弁護士にご相談ください。

年収と同じ借金に関するよくある質問

Q. 年収と同じ額まで借金をすることは可能ですか?
A.

現在は、総量規制という法律があるため、基本的にはできません。複数の金融業者から借りる場合でも、借金の合計が年収の3分の1以内であることが必要だからです。ただし、法律の範囲外の闇金などから借りた場合は別です。

Q. 年収と借金が同額になってしまったんですが、返済可能ですか?
A.

返済不能ではありませんが、大変厳しい状況だと言わざるを得ません。国が年収の3分の1以上のお金を貸すなとしているのは、それ以上借りると返済不能になる可能性が高まるからです。基本的には債務整理などをして、返済額を減らし、負担を軽くすることをお勧めいたします。

Q. 返済が大変なんですか、少しでも返済を楽にする方法はありませんか?
A.

はい、あります。国が認めた合法的な債務整理をすれば返済額は減らせます。任意整理なら利息と遅延損害金をカットできます。個人再生なら借金を5分の1程度にすることができます。自己破産なら借金をゼロにすることができます。