任意整理を辞任された!2度目はできる?辞任後にやるべき適切な対処法

任意整理を辞任された!2度目はできる?辞任後にやるべき適切な対処法

任意整理を辞任されてしまうと、弁護士や司法書士の介入がない状態になります。これにより債権者はあなたに直接連絡をしたり取り立てを再開したりできる状態に戻ってしまいます。

任意整理手続きを開始してしまった以上、過去以上に厳しい取り立てを受けたり、一括請求や法的手続きに移行されたりする恐れもあるでしょう。

では、任意整理を辞任されてしまったときはどうすればよいのでしょうか?結論からいうと、新しい専門家に相談をして任意整理を再開するのが一番です。

本記事では、任意整理を辞任されたときの「辞任理由別対処法」や「新事務所へ相談する際の注意事項」についてお伝えします。

もし、現時点で辞任されてしまっている方は、急いで任意整理を再開しなければ、法的手続きに移行される恐れがあります。本記事でお伝えしていることを参考にしていただきながら、新しい専門家と出会い、借金問題解決を目指してください。

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任意整理を辞任されるとどうなる?今後起こり得る影響について

任意整理を依頼していた弁護士・司法書士に辞任をされてしまった場合、委任によって受けられていた効果が受けられなくなってしまいます。具体的な影響は下記の通り。

  • 借金の取り立て・一括請求が開始
  • 法的手続きに移行される可能性がある

まずは、任意整理を辞任されてしまった際に起こり得る影響についてみていきましょう。

辞任通知の送付によって一括請求の督促が再開される

弁護士などの専門家は任意整理を辞任した時点で債権者(お金を貸している)に辞任通知を送付します。辞任通知とは「委任されていた任意整理に関する手続きを辞任しました」という内容の書類です。

辞任通知によって弁護士を介して話をする必要がなくなるため、改めて債権者から債務者宛に借金の取り立てが開始される可能性が極めて高いです。しかも、債権者側からの請求は、基本的に残金一括での返済である場合がほとんどです。

中には、任意整理を辞任されたあとでも「毎月いくらなら支払えるのですか?」などと、交渉の余地を残してくれる債権者もいますが、仮に分割払いが認められたとしても、任意整理によって得られるはずだった効果(利息のカット)を受けられない可能性が高いです。

そもそも任意整理によって受けられる経済的メリット(利息のカット)は、弁護士などの専門家が間に入って交渉をしてくれるから得られるものです。弁護士・司法書士という強い味方がいなくなってしまった以上、債務者と直接話ができる状態になるため、わざわざ譲歩する必要はないと判断されるでしょう。

取り立てが止まっていたのは弁護士・司法書士のおかげ
任意整理を弁護士・司法書士に依頼すると、事務所から債権者に対して受任通知(債務の整理に関する行為を債務者から委任されました。という通知)が送付されます。これにより債権者は債務者に対して直接連絡をしたり借金の取り立てをしたりできなくなります(貸金業法21条)

しかし、辞任通知を送付することによって弁護士や司法書士は辞任したことになるため、債権者は改めてあなた(債務者)に取り立てをできるようになり、一括請求がくるという仕組みです。

法的手続きに移行される可能性もある

弁護士によって任意整理を辞任されてしまうと、債権者は法的手続きに移行する可能性があります。なぜなら、あなたに借金の返済能力がないと明らかになったため、強制的に給料や財産を差し押さえて、少しでも借金を回収するためです。

任意整理をしたということは、「今のままでは返済ができません」という事実を債権者に自ら伝えてしまっていることと同義です。よって、当然相手方も「このままでは借金を回収できなくなるかもしれない」と思うことはごく自然なことであり、回収に向けた対応を早急におこなう可能性が高いです。

かろうじて弁護士・司法書士という専門家が間に入っていれば、お互いの意見を考慮しながら和解に向けた交渉ができました。ところが、債務者(あなた)を助けてくれる後ろ盾が無くなった以上、「借金の回収が困難な人」として認定されてしまう可能性があります。

もしも、債権者が法的手続きに移行してしまった場合には、改めて任意整理にて交渉をおこなうのは困難です。なぜなら、法的手続きによって強制的に財産を差し押さえられる見通しが立っているからです。

わざわざ債務者の話を聞いたり譲歩したりしなくても、裁判所の判決を持って差し押さえをおこなえば、債務を回収できるようになります。そのため、法的手続き移行後に債権者が任意整理交渉に応じる可能性は、低くなるのです。

法的手続き移行後は財産や給与を差し押さえられる

法的手続き移行後は下記の順番で書類が届き、強制執行(財産や給料の差し押さえ)がおこなわれます。

  1. 裁判所から督促状が届く
  2. 裁判所から仮執行宣言付き督促状が届く
  3. 強制執行の申立・強制執行が可能になる

参考:裁判所|支払督促手続の流れ

任意整理を辞任されてしまい、債権者が法的手続きに移行した場合は、まず裁判所から支払い督促状が届きます。裁判所からの督促状は、債権者から届く督促状とは異なり、法的効力を持っているため注意しなければいけません。

督促状を受け取った場合、債務者は2週間以内に異議申し立てもできますが、これを放置していると「仮執行宣言付支払督促状」が送付されます。

異議申し立ては「異議」を申し立てるだけではない
異議申し立てと聞くと「そのような事実はない」など、何かを否定することのように思われがちです。しかし実際は、「分割払いにしてほしい」とか「支払いが厳しい」といった内容の申し立てをすることも可能です。

仮執行宣言付支払督促状が届いた後も2週間以内に異議申し立てをすることなく、放置をしていると債権者側の主張が認められて確定します。その後は、債権者が強制執行の申し立てを行い、あなたの財産や給料を差し押さえできる状態になります。

財産や給料の差し押さえによって、会社や家族に借金の事実がバレるだけではなく、生活にも著しい影響が出る可能性は極めて高いでしょう。

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辞任後に再び任意整理(2度目の任意整理)はできるのか?

辞任後も任意整理ができなくなるわけではない

支払いが滞るなどして辞任されてしまった場合、再び任意整理ができるか心配になる方も多いと思いますが、任意整理ができなくなるわけでは決してありません。受任してくれる弁護士や司法書士が見つかれば、債権者との交渉は可能です。

ただし、返済条件が厳しくなる可能性あり

ただし、一度返済が滞ってしまってからの再交渉になりますので、返済条件が厳しいものになる可能性が考えられます。具体的には、短期間での返済が求められるため結果的に月々の返済額が上がることです。

どのような条件でまとめるかは、弁護士や司法書士の腕の見せ所になります。ですので、できるだけ債務整理の実績が多い弁護士に依頼したほうが心強いといえるでしょう。

【状況別】任意整理を辞任されたときに検討する4つの対処法

任意整理を辞任された場合は元の状態に戻ってしまうため、債権者から改めて厳しい取り立てを受けることになります。さらに、法的手続きに移行されてしまう恐れもあるため、早めに対応をしなければいけません。

任意整理を辞任されたときは、その状況に合わせて下記のことを検討してください。

  • 任意整理費用を払えないときは法テラスの利用を検討
  • 早急に他の事務所を探す
  • 代理送付(弁済代行)の辞任後は自分で返済を続ける

任意整理を辞任されてしまうと、債務者(あなた)はとても危険な状態に晒されてしまいます。次に、できるだけ早い対応を取るための対処法について詳しく見ていきましょう。

対処法①:任意整理費用を払えないときは法テラスの利用を検討

任意整理費用を支払えずに辞任されてしまった場合は、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用してください。この制度は、経済的に余裕がない方、任意整理費用の準備が難しい方でも利用できます。

当然、任意整理やその他の債務整理手続きを依頼することも可能です。原則、弁護士費用は立替払いであるため、かならず返済をしなければいけません。しかし、返済方法は柔軟に対応してくれるため、「毎月◯◯円しか払えない…」という方も相談をしてみましょう。

法テラスは国が設置する法律の総合案内所
法テラスは国が設置をしている法律の総合案内所であるため、誰でも無料で相談ができます。法テラスで相談できる専門家は、全国の司法書士や弁護士などです。安心してご相談ください。

→民事法律扶助制度についてはこちら
→全国の法テラス相談窓口はこちら

新たな事務所では自己破産を勧められる可能性がある点に留意

任意整理費用を支払えずに辞任されてしまった方は、仮にその後の任意整理で和解が成立したとしても、返済できない可能性があります。返済できないのに任意整理をしても、費用を無駄にしてしまうだけです。

そのため、新たな事務所では自己破産を勧められてしまうかもしれません。「任意整理の費用を払えない人は、たとえ借金を減額できたとしても、このまま返済を続けていくことは不可能」と判断されれば、弁護士もあなたに自己破産を勧めるでしょう。

また、債権者と交渉をおこなう過程でも「返済能力がないのに和解を目指せない」と考えるのは当然です。

おそらく自分自身でも「任意整理で借金が残っても返済できないかもしれない」という事実に薄々気付いているでしょう。新しい事務所で自己破産を勧められた際には、そのことも視野に入れた検討をしてください。

対処法②:相性が悪くて辞任された場合は他の事務所を探す

弁護士に任意整理を委任した以上、債務者を守るために弁護士側から一方的に辞任する可能性は低いでしょう。しかし、弁護士も債務者もお互いが人間である以上、そりが合わず一方的に辞任をされてしまう可能性は少なからず考えられます。

弁護士・債務者双方が一方的に解任・辞任することは可能
民法651条では、委任契約においては双方が自由に契約の解除ができる。と定められています。ただし、相手方の一方的な辞任によって損害を受けた場合には、損害賠償を請求も可能です。納得できないときは新しい事務所に相談をしてください。

参考:民法「651条(委任の解除)」

もしも、弁護士側から一方的に辞任されてしまった場合には、すぐに別の事務所を探して委任契約を締結すればよいでしょう。人対人の付き合いである以上、お互いに納得できないことがあってもおかしくはありません。

無論、債務者(あなた)側から一方的に弁護士を解任してもよいです。気持ちのよい取引ができないならば、無理に付き合いをする必要はないでしょう。

できる限り無料相談で弁護士との相性を確かめておこう

委任契約を締結する際に無料相談で人柄をみておけば、後のトラブルを回避できる可能性が高まるでしょう。ほとんどの法律事務所では初回30分程度の無料相談や、電話による相談を受け付けています。相性のよい弁護士を見つけるためには、下記のことを意識するとよいでしょう。

【相性のよい弁護士の見つけ方】

  • 自分の話を親身になって聞いてくれているか?
  • 本当に借金問題を解決してくれそうか?
  • 実績は豊富か?
  • できないことははっきり「できない」といってくれるか?
  • 人柄(雰囲気や声のトーンなど)はどうか?

債務者であるあなたは任意整理という借金問題を解決するために相談をします。交渉に失敗すれば、借金の減額は難しくなるため、弁護士選びも慎重におこなわなければいけません。新しい事務所を探すときは、上記のことを意識しながら探してみるとよいでしょう。

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対処法③:連絡不足で辞任された場合も新たな事務所を探せばよい

連絡不足などが原因で辞任されてしまった場合も、新たな事務所を探せばよいでしょう。ただ、弁護士と連絡が取れなければ手続きを進めることができないため、同じことを繰り返していると任意整理ができなくなってしまいます。

新事務所を探して委任契約を締結したあとは、事務所の空いている時間帯に連絡を取れるように準備しておくとよいでしょう。また、メールなど他の連絡手段も利用できるようにしておくことで、円滑な手続きを進められるようになります。

あなたは弁護士から見れば顧客の1人かもしれませんが、あなた自身の問題を解決するために動いてくれています。あなた自身が連絡を取ったり必要書類を提出できなかったりすれば、自分で自分の首を絞める結果になってしまうでしょう。

交渉が長引くと法的手続きに移行されることもある
債権者によっては交渉期間が長引くことによって、法的手続きに移行するケースもあります。任意整理はあくまでも交渉手続きであるため、あなたがいつまでも連絡をせずに手続きを進められなければ、自分が苦しい思いをしたり、借金問題を解決できなかったりします。

弁護士に委任をしてすべてが終了するわけではありません。債務者であるあなたに用意してもらわなければいけない書類や、聞かなければいけないことなどが都度あります。自分ごとである以上、新事務所ではしっかり連絡を取り合うよう意識してください。

対処法④:代理送付(弁済代行)を辞任された場合は自分で返済を続ける

任意整理の和解成立後の返済金を弁護士経由でお支払い(弁済代行)していた場合、債務者から入金を確認できなければ弁護士も支払いをできません。この状況が続くと、弁済代行の辞任をされてしまう恐れがあります。

もしも弁済代行を辞任されてしまったときは、債権者(お金を貸した側)からの直接取り立てに応じて、自分で支払いをするのも一つの方法です。

「弁済代行中に辞任された=任意整理による利息カットの交渉は完了している」という状況であるため、もし債権者が分割での返済を認めてくれるなら利息カット後の金額で返済できます。

ただし、債権者によっては返済が滞ったことを理由に残債を一括請求してくる可能性があります。万が一、一括請求をされてしまったなら、あなたは一括で返済をするしかありません。

その場合は、2度目の任意整理で分割払いへ変更できるか試してみてもよいかもしれません。ただし、辞任されてしまった弁護士に再委任をすることはできないので、新たな事務所を探しましょう。

任意整理で分割払いに変更しても返済が難しければ、自己破産や個人再生でさらに返済負担を軽減する選択肢もあります。弁護士とよく相談のうえ検討するとよいでしょう。

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新たな事務所に任意整理を依頼するときの注意事項

新しく弁護士事務所に任意整理を委任する際には、下記3つのことを注意してください。

  • 前事務所で辞任された事実を正直に伝える
  • 前任の専門家から必要書類をもらっておく
  • 前任の専門家から債権者宛に辞任通知を送付してもらう

最後に、新事務所へ任意整理を依頼する際に抑えておくべきポイントについてお伝えします。上記のことを怠るとトラブルが発生したり、任意整理ができなかったりする恐れもあります。これからお伝えすることを参考にしてください。

前事務所で辞任された事実を正直に伝える

前事務所で辞任をされた事実やその原因をかならず伝えておいてください。その理由次第では、新事務所でもお断りされてしまうかもしれませんが、あとからのトラブルを回避できるため、前もって伝えておくことが大切です。

ただ、連絡不足などが原因で辞任されてしまった場合には「これからはしっかり連絡取れるようにします」などと伝えてあげることで、新事務所でも安心して受任できるでしょう。

嘘の辞任理由や辞任された事実を隠したりしていると、後からトラブルに発展してしまい、任意整理ができなかったり弁護士がつかなかったりします。スムーズに借金を整理するためにも、正しく包み隠さず伝えることを意識してください。

前任の専門家から必要書類をもらっておく

任意整理手続きを進めるために消費者金融カードローンなどのカードや利用明細書、あなたの信用情報開示報告書などを弁護士が保有している可能性があります。そういった書類は受け取っておいて、後任の弁護士へ渡しておくとよいでしょう。

細かな引き継ぎなどはおこなってもらえませんが、1から相談をするよりも比較的スムーズに任意整理を開始できます。任意整理の交渉はスピードが命であるため、あらかじめ準備しておけるだけでも自分が有利になるでしょう。

前任の専門家から債権者宛に辞任通知を送付してもらう

前任の弁護士が辞任したときは、債権者宛にもかならず辞任通知書を送ってもらいましょう。本来、弁護士は辞任した時点で辞任通知を送付しますが、まれに忘れてしまっていることもあります。

原則、ひとつの借金に対して1人の専門家しか介入できないため、前任の弁護士が辞任通知を送らなければ、後任弁護士が介入できません。もしも、辞任通知の送付が遅れているようなら、早急に送るよう促してください。

まとめ

今回は、任意整理を辞任されたらどうなるのか?についてお伝えしました。

任意整理を辞任されてしまうことで、専門家の介入がない状態になります。その結果、改めて借金の取り立てを開始されたり、法的手続きへの移行や財産・給料の差し押さえがおこなわれたりする恐れがある。とのことでした。

なんらかの次以上で任意整理を辞任されてしまった場合は、法テラスへの相談や新事務所への相談などを検討すればよいでしょう。

任意整理は時間がかかると債権者が法的手続きに移行する恐れがあるため、辞任後も早め早めの手続きが必要不可欠です。辞任された原因を自分で改善しながらも、同時に新事務所を探し始めたほうがよいでしょう。

手続きが遅くなればなるほど、自分の状況が苦しくなってしまう一方です。少し焦りながらも、冷静に相性を見極めながら委任するようにしてください。

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よくある質問

Q. 任意整理って、なんですか?
A.

任意整理は、債務整理の一つで、借金を合法的に整理できる制度です。具体的には、将来利息をカットできるので、元本を返済しやすくなります。また、裁判所を通さず、債権者との話し合いのみで結論がでるので、他の債務整理に比べて、使い勝手がいい制度です。

Q. 辞任通知とは、どのようなものですか?
A.

辞任通知とは、任意整理を担当していた弁護士等が債務者の代理人を辞めるというお知らせです。きちんと弁護士とコミュニケーションを取らなかったり、虚偽の申告をしたり、弁護士費用を払わなかったりすると、不誠実とみられ、関係性を絶たれてしまいます。

Q. 辞任通知が送られてきました。どうしたらいいですか?
A.

新たな弁護士等を探してお願いしてみましょう。今度は関係性を解消されないためにも、きちんと誠実にコミュニケーションをとりましょう。また、弁護士費用等の支払いができず辞任通知が送られてきた場合は、法テラスを活用してみましょう。法テラスはお金がない方でも無料で法律相談ができる場所です。